Lawyers Column

2025.12.22

家賃を滞納すると即強制退去?!滞納から退去までの流れを徹底解説!

実際はどうなの?

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※この記事は、城北法律事務所 / 田村 優介 弁護士が監修しています。

「家賃を滞納したら、いつ強制退去させられるんだろう?」
「支払いが厳しいけど、今の家から本当に追い出されるのかな」
そう思う方もいるかもしれません。

実は、家賃を滞納したからといって即座に強制退去になるわけではありません。とはいえ、放置すれば法的手続きが進み、ある日突然、退去命令が届く可能性もあります。この記事では、家賃滞納から強制退去に至るまでのリアルな流れと目安となる期間、退去を避けるための対処法、そして利用できる支援制度についてわかりやすく解説します。

家賃滞納で強制退去になるまでの基本的な流れ

家賃の滞納が続くと、最悪の場合「強制退去」に至る可能性がありますが、強制退去には法律に基づいた段階的な手続きが必要なので、いきなり追い出されるわけではありません。このセクションでは、家賃滞納から強制退去までの一連の流れをわかりやすく解説します。

家賃滞納が発生したときの初期対応とは

家賃滞納が発生した際、まず行うべきは「早めの連絡」です。借主からの連絡がないまま放置されると、大家や管理会社は対応に困り、借主・貸主間の信頼関係が悪化する恐れがあります。多くの賃貸借契約では、支払い遅延が一定期間続くと契約解除の条件となることがあるため、誠意ある対応が重要です。支払い予定日や理由を明確に伝えれば、督促前に柔軟な対応をしてもらえる可能性もあります。

言いづらくても早めに連絡を!

督促から契約解除までのステップ

家賃の滞納が続くと、管理会社や大家から電話や郵便で督促が届きます。数回の督促に応じず支払いもされない場合、内容証明郵便によって「賃貸借契約を解除する意思表示」が正式に通知されることがあります。この文書が届くと、法的な契約解除手続きが進行する可能性が高まります。

内容証明は裁判所でも証拠として採用されるため、この通知が届いた場合は、無視せず早急に対応しましょう。この段階で適切な交渉や支払いができれば、賃貸借契約の解除を回避できる場合もあります。

明け渡し請求・強制執行に至る法的手続き

契約解除をしたにもかかわらず居住を続ける場合、大家側は明け渡し請求訴訟を裁判所に起こすことができます。裁判で判決が出れば、借主に「退去命令」が下され、それに従わなければ強制執行へと移行します。強制執行では、裁判所の執行官が物件に立ち入り、強制的に退去させることになります。退去にかかる費用や損害金も請求されるため、状況が悪化する前に自主的な解決を図ることが重要です。

強制退去が実行されるまでの期間は何ヶ月?

家賃を滞納した場合、契約解除や訴訟などの法的手続きが必要なので、強制退去までは一定の時間がかかります。このセクションでは、強制退去に至るまでの期間やステップごとの目安、そして即時退去のケースについて解説します。

実際に退去までにかかる平均的な期間

家賃を滞納してから強制退去に至るまでの平均的な期間は、2〜6ヶ月程度が一般的です。初期の督促から始まり、内容証明郵便の送付、契約解除、訴訟提起、判決、強制執行といった段階を踏む必要があるため、一定の時間がかかります。
特に訴訟の進行状況や裁判所のスケジュールによっては実行日が前後することもあるので、だいたいの目安くらいで考えておくとよいでしょう。なお、早期対応をすれば、退去を避けられる余地も残されているため、猶予期間中の行動が重要になります。

何ヶ月で強制退去になるのか?事例別に紹介

強制退去までの期間はケースによって異なります。例えば、2ヶ月の滞納で契約解除→訴訟へ進んだ例では、判決まで約3ヶ月、強制執行まで1ヶ月という流れでした。別の例では、滞納6ヶ月以上でも、借主が誠意を見せたため訴訟を回避できたケースもあります。つまり、「滞納=即退去」ではなく、契約書の内容や対応姿勢によって結果が変わります。共通して言えるのは、放置が最悪の事態を招くという点です。督促が届いた段階で動くことが重要です。

滞納後の対応がカギを握っているってことだホ!

「即時退去」になるケースはあるのか?

原則として、家賃滞納を理由に“即時”退去を求めることはできません。賃貸借契約には解除手続きや訴訟を経る必要があるためです。ただし、例外として「無断転貸」や「暴力的行為」など重大な契約違反があった場合には、大家側が緊急的に契約解除を申し立てることがあります。これらは家賃滞納とは別の問題であり、裁判所を通じた判断が必要です。通常の滞納で即日追い出されることは、法律上ありえないと言えるでしょう。

家賃滞納で強制退去になるリスクと影響

家賃滞納が続いた結果、強制退去に至ってしまうと、単に住まいを失うだけでは済みません。信用情報、法的責任、今後の賃貸契約への影響など、様々なリスクを伴います。ここでは、強制退去が引き起こす具体的なリスクと生活への影響について詳しく見ていきます。

信用情報への影響とブラックリストのリスク

家賃の滞納自体は、個人信用情報機関に登録されるわけではありませんが、訴訟を起こされて敗訴した場合や、強制執行となった場合には、金融機関などに悪影響を与えることがあります。特に連帯保証人がいた場合、その人にも請求が及びトラブルの拡大を招く恐れもあります。将来的に住宅ローンや新たな賃貸契約を結ぶ際に、信用が問題となる可能性があります。

裁判・訴訟リスクと費用負担

家賃滞納によって契約解除された後、大家側が裁判所に訴訟を提起するケースは多くあります。判決が下れば、家賃や損害金の支払いを命じられるだけでなく、裁判費用や弁護士費用も借主が負担する可能性があります。経済的に困窮している中でさらに追加の負担が発生することは、生活再建に大きな障害となるでしょう。裁判を避けるためにも、早い段階での和解や相談が望まれます。

家賃以外の費用が発生するのは大きな痛手になるホ…

周囲への影響と引越し後の住宅探しの困難さ

強制退去になると、近隣住民や職場に知られることもあり、精神的なストレスが非常に大きくなります。また、過去に強制退去歴があると、不動産会社や大家から敬遠されることが多く、次の住まい探しが難航する可能性があります。特に保証会社の審査に通らない連帯保証人が見つからないといった問題に直面することが多いため、社会的信用を失う代償は小さくありません。

強制退去を回避するためにできる現実的な対処法

家賃滞納が続いたとしても、すぐに強制退去になるわけではありません。実は、適切な対処を行えば退去を避けられるケースも多くあります。ここでは、大家や管理会社との交渉方法や分割払いの相談、弁護士など専門家の活用について、実践的なポイントをご紹介します。

管理会社や大家に連絡・交渉するポイント

家賃を支払えないとわかった時点で、できるだけ早く管理会社や大家に電話や書面で連絡を入れることが重要です。対応を先延ばしにすると、信頼関係が壊れ、契約解除や訴訟に発展するリスクが高まります。誠意をもって支払い困難な理由や今後の見通しを説明すれば、柔軟な対応をしてもらえるケースも少なくありません。また、会話内容や合意事項は文書やメールなど記録に残すことで、後のトラブルを避けやすくなります。

分割払い・支払い猶予の交渉方法

家賃の支払いが一括で難しい場合は、分割払い支払いの猶予を提案するのも有効な手段です。このとき重要なのは、現実的な返済プランを提示することです。たとえば「来月以降は家賃と滞納分を2回に分けて支払う」といった具体的なスケジュールがあると、大家も判断しやすくなります。交渉は口頭だけでなく、内容証明郵便など信頼性のある手段で行うのが望ましいです。条件が整えば、契約解除や訴訟の回避にもつながります。

返済の意思を見せることが重要だホ!

弁護士や専門家に相談するタイミング

自分での交渉が難しい場合や、督促や内容証明が届いた段階での対応に悩む場合は、弁護士法テラスなどの専門機関に相談することを検討しましょう。弁護士に依頼すれば、法的リスクの把握や適切な対応策を立てることができ、場合によっては交渉の代理人として動いてもらうことも可能です。また、無料法律相談を実施している自治体もあるため、経済的に苦しい方でも利用しやすい仕組みが整っています。早めの相談がトラブル回避のカギです。

家賃滞納時に使える公的支援制度とは?

家賃の支払いが難しくなったとき、公的支援制度を利用すれば、強制退去を回避できる可能性があります。実際、収入の急減や失業などを理由に多くの人が制度を活用しています。
ここでは、「住居確保給付金」生活保護自治体独自の制度について、対象条件や申請方法を解説します。

住居確保給付金とは?対象条件と申請方法

住居確保給付金は、収入の急減や失業によって家賃の支払いが困難になった人を対象とした制度です。条件を満たせば〈最大9ヶ月間〉、家賃相当額が自治体から大家へ直接支給されます。主な対象者は、離職後2年以内の求職者や、収入減少により生活困難にある現役就労者です。申請は、住んでいる自治体の窓口やハローワークを通じて行います。必要書類には収入証明や賃貸契約書などが含まれ、審査には1〜2週間かかるのが一般的です。

一時的な生活保護の利用は可能か?

収入がほとんどなく、他に支援制度も利用できない場合は、生活保護の申請も検討対象となります。生活保護には住宅扶助という枠があり、家賃の全額または一部を公費でまかなうことが可能です。申請には、資産状況や扶養関係、収入状況の確認があり、ハードルはやや高めですが、「いま住んでいる物件に住み続けたい」という人にとっては有効な手段です。最寄りの福祉事務所で相談・申請が可能です。

自治体の独自支援制度の活用例

自治体によっては、国の制度以外に独自の住宅支援や家賃補助制度を設けている場合があります。たとえば、一時的な家賃援助金引越し費用の補助住居確保相談窓口などがそれにあたります。特に単身世帯やひとり親家庭、高齢者世帯などに対する支援が手厚い自治体も存在します。住んでいる市区町村の公式サイトや窓口で最新情報を確認することが大切です。

退去後はどうなる?荷物・費用・今後の生活への影響

強制退去が実行された後も、借主にはさまざまな負担が残ります。
家財道具の扱いや費用の支払い義務、次の住まい探しなど、生活に大きな影響を及ぼします。 ここでは、強制退去後に起こる現実について具体的に解説し、次のステップを考えるための情報を提供します。

強制退去後の荷物はどうなる?保管と処分の実情

強制退去が実行された際、部屋に残された荷物は執行官の指示により強制的に運び出され、倉庫などに保管されることが一般的です。保管期間は限られており、一定期間を過ぎると処分される可能性もあります。荷物の搬出や保管には費用がかかり、その請求は借主に届くこともあります。事前に退去に応じていれば自分で整理や引越しができるため、強制執行前の自主的な対応が重要です。

滞納家賃や裁判費用は支払わなければいけない?

強制退去後も、滞納家賃や損害金、訴訟費用などの支払い義務は免れません。特に判決が確定している場合は、給与や口座の差し押さえといった強制執行が行われることもあります。また、強制執行にかかった費用も含めて請求されるケースがあり、経済的負担はさらに大きくなります。こうした事態を避けるためにも、裁判に進む前にできる限り和解や分割返済の道を探ることが重要です。

滞納分を支払ったら解決!というわけではないホ…

今後の賃貸契約や転居への影響

強制退去の経歴は、不動産管理会社や保証会社の間で情報共有されている可能性があり、今後の賃貸契約に大きな影響を与えることがあります。新たに物件を借りる際の審査に通りにくくなり、保証人が必要になる、初期費用が高くなるなどのハードルが上がります。また、「強制退去歴あり」とみなされた場合、契約自体を断られることも。次の住まい探しでは、支援制度やUR賃貸住宅など選択肢を広げて対応する必要があります。

まとめ|強制退去を防ぐために今すぐできること

家賃滞納が続いても、早めに行動すれば強制退去を回避できる可能性は十分にあります。大切なのは、放置せずに現実を直視し、適切な情報をもとに冷静に対応することです。
ここでは、今すぐ実践できる行動ポイントを整理し、安心を取り戻すための一歩を提示します。

早めの相談と行動がカギになる

滞納が発生した段階ですぐに連絡・相談することが、強制退去を防ぐ最大のカギです。管理会社や大家、福祉事務所、弁護士など、頼れる相手は複数あります。「もうダメかも」と思う前に、小さな行動を起こすことが未来を変える第一歩です。一人で抱えず、外部に助けを求める勇気が大切です。

制度や交渉手段を正しく知ることが重要

退去を避けるには、支援制度の知識と交渉の選択肢を知っているかどうかが分かれ目です。「知らなかった」だけでチャンスを逃すのは非常にもったいないことです。住居確保給付金、分割交渉、法テラスなど、自分に合う支援を調べて行動に移すことが重要です。

最悪の事態を避けるための行動チェックリスト

✅ 管理会社や大家へすぐに連絡しましたか?
✅ 支払いの目処や事情を伝えたましたか?
✅ 支援制度を調べ、相談しましたか?
✅ 弁護士や相談窓口を活用しましたか?

このような具体的なチェックポイントを一つずつ実行していくことで、強制退去という最悪の事態を回避できる可能性が高まります。

《賃貸トラブル》でお困りの方は弁護士への相談も検討を!

1.いのくち法律事務所 / 井口 直子 弁護士(宮城県仙台市)

2.本厚木中央法律事務所 / 竹中 啓介 弁護士(神奈川県厚木市)

3.加納雄二法律事務所 / 加納 雄二 弁護士(大阪府大阪市)

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ビジネス戦略ライター |Yusuke LAULEA

大手企業で現役の管理職を務めるビジネス戦略ライター。理論だけでなく、実務レベルで役立つ情報を発信中!
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城北法律事務所

田村 優介

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