Lawyers Column

2024.12.25

共同親権とは?いつから施行されるのか、何が変わるのか徹底解説!

子どもの負担も軽減!

配偶者との離婚を決めたとき、多くの場合で論点になるのが「親権」です。父親も母親も親権を主張した場合、離婚問題とは別で親権トラブルに発展することも多く、親権については、離婚の際に大きな負担になっていました。

こうした親権トラブルを解決するために、2024年に新たなルール「共同親権」が採用されました。
本記事では、話題の共同親権について、概要やメリットデメリットなどを解説しているので、離婚を考えている人や離婚後は共同親権を行使したいと考えている人はぜひ最後までご覧ください。

共同親権とは

共同親権とは、離婚や別居した父母がともに親権を持つことです。父母がともに親権をもつことで、子どもの教育財産管理監護に対して双方が責任を負うことになります。

日本では、2022年に共同親権の導入が検討され、2024年に共同親権の導入が正式に可決されました。施行は法案の可決から2年以内という決まりがあるので、2026年までには私たちの生活に共同親権が導入されることになるでしょう。

共同親権導入の背景

これまでの日本では、離婚後の親権には単独親権が採用されており、離婚時に子どもがいた場合は、どちらの親を親権者とするかを決める必要がありました。

この時、双方が親権を主張した場合、法律では片方の親しか親権を認めることができないことでトラブルに発展することも多く、親権制度については改善を求める声があがっていました。

実際に、世界基準で見ると共同親権は日本以外の多数の国ですでに採用されており、むしろ単独親権を採用している国のほうが少数派でした。

また、日本が単独親権しか採用していないことは、国際結婚からの離婚となった場合にトラブルの種になることも多く、2020年7月には欧州議会本会議からも日本政府に対し、共同親権を導入するよう求められていました。

こうした背景から、日本が単独親権制度を採用していることに対する不満や、“単独親権は時代遅れである” と指摘する声が大きくなり、日本でも共同親権を導入する議論がスタートしたのです。

新しい制度、どうなるか気になるホ!

共同親権の目的

共同親権では、子どもを育てることに関して父母がともに義務や責任をもつことで、離婚後も子どもが父母との関係を維持しやすくし、金銭的・心理的に安定した環境を子どもに提供することを目的としています。

家庭の在り方を見直す重要な取り組みとして注目されており、今後の子どもの成長環境をより良くすることが期待されています。

共同親権は「未来を担う子どもたちの健やかな成長」を願っているホ!

離婚時における親権の取り扱いについて

『親権』とは、以下の2つの権利を総合して表現する言葉です。

身上監護:子どもを監督・保護し、精神的・身体的な発達のため教育をする権利
財産管理:子どもの財産を管理する権利

2024年12月現在、日本では単独親権が採用されているため、上記の権利を行使できるのは父母のうちのどちらかのみとなっています。

しかし、共同親権が導入されることで、上記の権利を父母がともに行使できるようになるため、子どもの教育や財産管理の面で、父母間での協力が促進されることが望まれています。

父母のうち、どちらかだけが子どもを養うわけではなくなるんだホ

共同親権のメリット&デメリット

共同親権を導入することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。また、共同親権を導入することによるデメリットや懸念点はないのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。

共同親権のメリット

共同親権を導入することによるメリットは、主に以下の3つです。

・親権を争わなくて済む / 父親でも親権を主張しやすくなる
・面会交流の主張がしやすくなる
・離婚後の子どもの教育面、金銭面での負担を分散できる

親権を争わなくて済む / 父親でも親権を主張しやすくなる

共同親権を導入することによるメリット1つ目は、親権争いがなくなることです。

離婚の際、子どもの親権をどちらの親が持つのかについてはトラブルになることが多く、離婚の原因とは別の争いが勃発することも多々あります。

また、親権争いは父母間の問題だけではありません。その影響は子どもにまで及び、これからも両親とずっと一緒にいたいと願う子どもにとっては両親が自分の親権で争っている姿や今後、どちらかの親に会うことが制限されるのはストレスにもなります。

共同親権では、「離婚したとしても、どちらの親も親権を持つ」と規定することで、こうした父母・そして子どもが負うストレスや心の傷を軽減することが期待されています。

さらに、共同親権を導入することで、父親が親権を主張しやすくなるというメリットもあります。
親権争いにおいて、一般的には女性のほうが親権を得やすいというデータもあり、単独親権では主張がしづらかった・親権を得づらかった父親でも、共同親権のおかげで親権を獲得しやすくなるでしょう。

日本では、母親が親権を持つことが多いんだホ

面会交流の主張がしやすくなる

共同親権を導入することによるメリット2つ目は、面会交流の主張がしやすくなることです。

もちろん、単独親権下でも親権を持たない親が子どもに会う権利はありました。しかし、親権を持つ親のほうから『子どもに会わないでほしい』と要求されることや面会を拒否されることが少なくなかったのもまた事実です。

共同親権の場合は、どちらの親も親権を持ち、子どもの成長を共に見守ることが認められているので、面会を拒否されたとしても、自身が面会する権利をより強く主張することが可能となります。

離婚後の子どもの教育面、金銭面での負担を分散できる

共同親権を導入することによるメリット3つ目は、教育面・金銭面での負担の分散です。

離婚後の金銭面のサポートとしては、非親権者から親権者へ支払われる「養育費」がありますが、人によっては、同居していない子どもに対する養育費支払いの義務を忘れてしまう・おざなりにしてしまうことも多く、養育費をもらうことに苦戦する親権者も多くいました。

その結果、親権者のみが子どもの生活に関わる費用を工面することとなり、昼夜を問わず働かざるを得ないという状況に陥ることも。

しかし、共同親権の場合はどちらの親にも『親権を持っている』という責任感を与えることで、養育費の支払いをよりスムーズにおこなってもらうことが期待されています。

また、子どもの進路などの重要事項については、親権を持つ者同士で話し合って決める必要があるため、子どもの進路や将来に関する負担については父母間で分け合うことも期待されています。

負担がどちらかの親にのみ偏ることを避けるホ

共同親権のデメリット

共同親権は父親も母親も子どもにも、大きなメリットがある制度ではありますが、共同親権を導入することによるデメリットもまた存在します。共同親権導入のデメリットは主に以下の2つです。

・DVなどの不安から逃げられない可能性がある
・父母の意見が対立した場合に、子どもへの負担がかかる

DVなどの不安から逃げられない可能性がある

共同親権を導入することによるデメリット1つ目は、DVの不安が消えないことです。

共同親権では父母ともに面会の権利が与えられるため、例えば離婚の原因が父親から子どもや自分自身に対するDVだった場合でも、DV加害者である父親が離婚後も面会を主張することができてしまいます。

DVがある家庭では子どもの安全が脅かされるため、単独親権においては加害者に親権が与えられることは少なく、また、面会についても監視付きの面会となったり、面会自体を禁止することでDVの被害が増えないよう配慮されていました。

このように一律に共同親権を認めてしまうことのリスクがあることから、実際は共同親権が成立したあとでも、単独親権を選択することも可能となっています。
また、DV等の被害がない場合であっても、共同親権にするか単独親権にするかは当事者間で決められるとする柔軟な法改正が進められています。

親権を両者に認めるのは必ずしも良いことばかりではないホ…

父母の意見が対立した場合に、子どもへの負担がかかる

共同親権を導入することによるデメリット2つ目は、父母間の意見が対立した場合の子どもの負担です。

共同親権では、進路や引っ越し、奨学金など子どもに関する重要なステップに関する決定は、父母の両方の意見を聞くこととなっています。

そのため、これまでは親権を持つ父親もしくは母親が単独で決められていたことでも、共同親権後は、元配偶者の意見も反映させなければならないことになります。

例えば、子どもを私立高校に通わせるか公立高校に通わせるか、といった議論において父母間での意見が対立してしまうと、なかなか進路が決まらないことで、当事者である子どもに負担がかかってしまいます。

また、子どもにとっては普段同居していない親から自分の将来に対して口出しされることをストレスに感じてしまう可能性もあります。
あくまでも子どもの意思を尊重して話し合いを進めるよう意識することが重要です。

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共同親権を活用して子どもも親も良好な関係を築き上げよう

共同親権は、離婚後も子どもが両親との関係を維持し安心して成長できる環境を提供する重要な制度です。子どもにとっての最善の利益を考慮し、両親が協力して子どもの成長を支えることを促します。

子どもにとっての心理的安定や育児環境の向上、社会性の育成といったメリットが期待されるため、今後の家庭における共同親権の重要性はますます高まっていくでしょう。

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