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2025.09.08

【薬剤師が解説】熱中症の頭痛に頭痛薬はNG?正しい対処法と予防策

頭痛と熱中症の関係!

夏の暑さが落ち着いても、熱中症には注意が必要です。熱中症の症状は多岐にわたりますが、その中でも「頭痛」は比較的よく見られる症状の1つです。しかし、この熱中症による頭痛に対して、安易に市販の頭痛薬を使用するのはオススメできません。

本記事では、熱中症による頭痛の特徴や、市販薬を服用する際の注意点、そして正しい対処法と予防策について紹介します。

熱中症による頭痛の特徴と症状

熱中症は、高温多湿な環境下で体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節機能がうまく働かなくなったりすることで起こる様々な症状の総称です。その中でも頭痛は、熱中症の進行度合いを示す重要なサインの1つとされています。

熱中症の分類と頭痛の関連性

熱中症は、重症度によってI度からIII度に分類されます。熱中症による頭痛は、脳や消化管、肝臓への血流低下や、それら重要臓器自体の体温上昇により、生じるとされています。頭痛はⅡ度(中等症)に分類される症状です。
頭痛の他にⅠ、Ⅱ度にどのような症状があるのか合わせて確認してみてください。

I度(軽症):この段階では意識は正常
めまい、立ちくらみ、筋肉痛、こむら返りなど

II度(中等症)
頭痛(ズキズキとした拍動性)、吐き気、嘔吐、倦怠感、集中力の低下、意識がなんとなくおかしい。

Ⅱ度の症状があり自力で水分・塩分補給できない場合や意識障害やけいれん、高体温(40℃以上)があればすぐに病院に連れて行ってもらうか119番で救急車を呼びましょう。

頭痛は黄色信号だホ!

熱中症の特徴的なサイン

単に体調が悪いのか、熱中症なのか、イマイチわかりにくいこともあるかと思います。『もしかして熱中症?』と疑ってほしい症状は以下の5つです。特に、汗をかいた後や熱い状況下で症状が現れた場合には注意してください。

①めまい・立ちくらみ: さまざまな症状でみられますが、熱中症の初期症状の1つ
②吐き気・嘔吐:頭痛と同時に現れることが多く、食欲不振を伴うことも
③倦怠感・だるさ:全身の倦怠感が強く、体を重く感じる
④意識のぼんやり:集中力が低下し、意識がはっきりしない状態
⑤発汗の異常:汗が急に止まる、汗が全く止まらないなど、通常時と異なる発汗

これらの症状が複数現れている場合は、熱中症を強く疑い、適切な対処を行ってください。

頭痛薬の種類と選び方

市販されている頭痛薬には様々な種類があり、有効成分や作用機序が異なります。また、頭痛とは関係のない成分が含まれていることもあるので注意が必要です。熱中症による頭痛に市販薬を使用する際には、これらの違いを理解し、適切な薬を選ぶようにしましょう。

主な有効成分とそれぞれの作用

市販の頭痛薬の主な有効成分とそれぞれの特徴を簡単に紹介します。

・アセトアミノフェン:脳の中枢で作用し、痛みの伝達を抑えることで鎮痛効果を発揮するとされています。胃への負担が少なく、比較的安全性の高い薬として評価されており、小児や妊娠中の女性にも使用されます。

・イブプロフェン:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種で、炎症や痛みの原因となるプロスタグランジンの生成を抑えることで鎮痛・解熱効果を発揮します。生理痛や関節痛など、炎症を伴う痛みにも効果的です。

・ロキソプロフェン:イブプロフェンと同様にNSAIDsの一種ですが、体内で活性型に変換されてから効果を発揮するため、胃への負担が少ないとされています。

・アスピリン:古くから使われているNSAIDsの一種で、鎮痛・解熱・抗炎症作用があります。血液をサラサラにする作用もあるため、出血傾向や血液凝固の薬を飲んでいる人は注意が必要です。また、アスピリン喘息の方は特に注意しましょう。

頭痛薬ごとにけっこう違いがあるホ!

熱中症による頭痛に頭痛薬は使ってもいい?

大前提として、熱中症による頭痛には頭痛薬は使用しない方がいいです。基本的な熱中症時の対応を優先的に行うようにしましょう。その際にどうしても服用するのであれば「アセトアミノフェン」を選択するようにしてください。

熱中症による頭痛の場合、体は脱水状態であることが多く、腎臓への負担がかかりやすい状態です。このような状況でNSAIDs(イブプロフェン、ロキソプロフェン、アスピリンなど)を使用すると、腎臓への血流がさらに低下し、腎機能障害を悪化させる可能性があります。

また、NSAIDsは胃腸に対する影響も考えられ、食欲不振や吐き気がある場合には、さらに症状を悪化させる可能性があります。

ただし、どのような頭痛薬であっても、熱中症による頭痛の根本的な解決にはなりません。あくまで一時的な症状緩和にとどまることを理解しておいてください。

頭痛の原因にあった処置が必要なんだホ!

熱中症時の頭痛薬使用の注意点

熱中症による頭痛に対してNSAIDsが含まれる市販薬の使用は避けるように記載しましたが、その理由を紹介します。

飲んではいけない薬と理由

具体的には、イブプロフェンロキソプロフェンアスピリンといった成分が記載されているものは避けましょう。その理由は大きく3つ「腎臓への負担」と「胃腸への負担」「熱中症を隠す」といった可能性があるからです。

1.腎臓への負担増大:熱中症では脱水により腎臓への血流が低下しています。さらにNSAIDsによって腎臓に流れるかつ液量が低下すると、さらに腎臓への負担をかけ、腎障害を引き起こすリスクを高めます。

2.胃腸への負担:NSAIDsは胃の粘膜を荒らす作用があり、胃痛や吐き気などの消化器症状を引き起こすことがあります。熱中症で食欲不振や吐き気がある場合、これらの症状を悪化させる可能性があります。

3.熱中症を隠す:頭痛薬で一時的に頭痛を改善できたとしても、熱中症の対策をしなければ何も意味がありません。気付かぬうちに悪化してしまう可能性もあるので、頭痛薬の安易な使用はオススメできません。

一般的に広く使われている頭痛薬の多くはNSAIDsに分類されます。熱中症が疑われる状況でこれらの薬を安易に服用することは、腎臓への深刻な負担や脱水症状の悪化を招く可能性があり、非常に危険です。薬を使用する前にできることをやってみてください。

薬がかえって悪影響になることもあるホ

薬を服用する前に確認すべきこと

頭痛があり、少しでも熱中症の可能性がある場合、頭痛薬を使用する前に以下のポイントを必ず確認してください。

1.熱中症の症状の有無
頭痛以外に、めまい、吐き気、倦怠感、意識のぼんやり、体温の上昇などの熱中症の症状がないかを確認します。これらの症状がある場合は、まず熱中症の応急処置を優先してください。

2.水分・塩分補給の状況
十分な水分と塩分が補給されているかを確認します。脱水状態での薬の服用はリスクが高まります。

3.薬の成分
家に頭痛薬がある方は成分がNSAIDsでないかを確認してみてください。どうしても使用する場合には「アセトアミノフェン」単独のものを使用するようにしましょう。

熱中症による頭痛は、体の異常を示すサインです。頭痛薬はあくまで対症療法であり、根本的な治療にはなりません。まずは涼しい場所への移動、体温の冷却、そして何よりも『水分と塩分の補給」が最優先です。経口補水液などを活用し、体内の電解質バランスを整えることが重要です。

頭痛が改善しない場合や、意識が朦朧とする、けいれんを起こすなどの重篤な症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

熱中症の予防と対策

熱中症にならないことが1番です。ここでは『日常生活での対策』と『薬を使用する前の基本的な熱中症時の対応』について紹介します。ちょっとした意識で、熱中症は予防できます。

日常生活でできる対策は…

①こまめな水分・塩分補給
のどが渇いていなくても、定期的に水分を摂ることが重要です。特に汗をたくさんかく場合は、スポーツドリンクや経口補水液などで塩分も補給しましょう。

②暑さを避ける
炎天下での活動は避け、日中の暑い時間帯の外出は極力控えましょう。室内でもエアコンや扇風機を適切に使用し、室温28℃以下湿度65%以下に保つように心がけましょう

③服装の工夫
吸湿性や速乾性に優れた素材の衣服を選び、通気性の良い服装を心がけましょう。薄着が基本ですが、直射日光を避けるためにも帽子日傘も活用しましょう。

④十分な睡眠と栄養
体調を整えることは、熱中症予防の基本です。睡眠時の室温も睡眠の質に影響を与えるので意識するようにしましょう。偏った食生活にならないように、栄養バランスを考えた食事にしましょう。

⑤暑さ指数(WBGT)の確認
環境省の熱中症予防情報サイトなどで発表されている暑さ指数を確認し、危険なレベルの日は外出を控えたり、いつも以上に熱中症対策をしたりする参考にしましょう。

熱中症かな?と思ったら、すぐに行うべき対応

もし熱中症による頭痛が起きてしまった場合は、以下の応急処置を速やかに行ってください。もちろん、頭痛以外の熱中症の症状がある場合も同様です。意識が無い場合にはすぐに119番、自力で水分補給ができない場合や症状が悪化していく場合には、速やかに医療機関を受診してください。

①涼しい場所へ移動:エアコンが効いた室内や、風通しの良い日陰など、涼しい場所へ移動させてください。

②服をゆるめ体を冷やす:衣服をゆるめ、両側の首筋、脇の下、足の付け根など、太い血管が通っている部分を氷枕や保冷剤で冷やします。皮膚に水をかけてうちわや扇風機で風を当てることでも体を冷やすことができます。

③水分・塩分補給:大量の汗をかいている場合には、水分と塩分を一緒に補給できる経口補水液やスポーツドリンクがよいでしょう。自力で水分補給ができない場合には受診するようにしましょう。

④安静にする:①~③を実施し体調が改善しても、しばらく横になり体を休ませます。無理に動かないようにしましょう。

これらの応急処置を行っても症状が改善しない場合や、意識が朦朧とする、けいれんを起こすなどの重篤な症状が見られる場合は、医療機関を受診してください。1人で移動せず、だれかと行動するようにしましょう。1人で少しでも不安がある時は119番で救急車を呼びましょう。

まとめ

熱中症は、夏の健康を脅かす最も身近な問題で、誰しもがなる可能性があります。熱中症の正しい知識と適切な対処法を身につけることが何よりも重要です。特に、熱中症による頭痛ではNSAIDsを主成分とする頭痛薬の使用は避け、アセトアミノフェンを主成分とする薬を選ぶようにしましょう。

ですが、水分・塩分補給や体を冷やす対応などが最優先となります。症状が改善しない場合や悪化する場合には速やかに受診しましょう。そして受診は1人ではせず、付き添ってもらうようにしてください。

日頃からの水分・塩分補給、暑さを避ける工夫、そして体調管理を徹底することが重要です。熱中症を予防し、安全で快適な夏を過ごすことができます。今回紹介した熱中症対策を1つからでもいいので実践してみてください。

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トリス(薬剤師T)

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