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2025.06.11
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※この記事は、弁護士法人品川高輪総合法律事務所 根本智人 弁護士が監修しています。

・遺言書に「財産はすべて長男に相続させる」と書かれていたけど、私は何ももらえないの?
・遺留分の請求って本当にできるの?期限はいつまで?
・手続きを弁護士に頼むと費用はどれくらいかかるの?
そう思う方もいるかもしれません。
実は、法定相続人であれば遺留分侵害額を請求することで、法律上認められた最低限の財産を取り戻すことができます。ただし、請求できる期間(時効)や手続きの流れ、弁護士費用についての理解が不十分だと、思わぬトラブルや損をする可能性も。
この記事では、「遺留分侵害額請求とは何か?」という基本から、時効や期限、請求の方法、弁護士費用の相場までを初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。相続でもめたくない、でも自分の権利はしっかり守りたい、そんな方はぜひ最後までご覧ください。

遺言で自分の相続分がなかった場合でも、一定の権利を守るための制度が「遺留分」です。この章では、遺留分侵害額請求の意味や法的な仕組み、基本的な概念をわかりやすく解説します。
遺留分とは、相続人のうち特定の範囲の人が最低限保障されている相続分のことです。民法では、相続の自由を尊重しつつ、法定相続人の生活保障や公平性を保つためにこの制度が設けられています。
遺留分の目的は、被相続人が生前に特定の相続人へ財産を集中させたり、遺言で一部の人だけに財産を与えたりすることによって、他の相続人の生活基盤が不当に侵害されないようにすることです。遺留分の制度は、相続に関する基本的なルールの1つであり、トラブル回避の観点からも重要な役割を果たします。
遺言だけが相続のすべてを決めるわけではないホ!
2019年の民法改正により、「遺留分減殺請求」は「遺留分侵害額請求」へと変更されました。以前は、不動産や金銭といった具体的な財産を直接返還する制度でしたが、改正後は原則として、金銭による支払い請求(侵害額請求)となりました。これにより、相続人間での不動産の共有などが発生することが減り、トラブルが軽減されることが期待されています。
遺留分制度の背景には、「家族の公平」と「生活保障」の観点があります。仮に全財産を第三者に贈与する遺言があった場合、法定相続人が全く財産を受け取れない事態になりかねません。こうした不公平を防ぎ、一定の権利を確保することが遺留分制度の意義です。また、相続人同士の感情的な対立を和らげるためにも、民法は最低限の取り分を保障する「遺留分制度」を設けています。

遺留分は誰にでも認められるわけではありません。請求できる人とそうでない人には明確な基準があります。ここでは、遺留分侵害額請求の対象となる法定相続人の範囲を詳しく解説します。
遺留分侵害額を請求できるのは、直系卑属(子や孫など)および配偶者です。これらの法定相続人には、被相続人が遺言で他者に財産を渡した場合でも、一定割合の財産を請求する権利が民法で保障されています。一方、兄弟姉妹には遺留分が認められていないため、たとえ法定相続人であっても、遺留分侵害額請求はできません。遺留分の制度は、生活を共にした配偶者や子どもの生活保障を主眼として設計されています。
以下のような場合には、遺留分の請求ができません。
特に兄弟姉妹については誤解が多いため注意が必要です。相続人ではあっても、遺留分侵害を主張できる立場にはありません。
遺留分侵害額請求は、相続開始後に自分の取り分がなかったと気づいたときから始まります。判断基準となるのは、「遺言書の内容」や「生前贈与の有無」、「遺産の分配状況」です。これらを総合的に確認し、遺留分の侵害があると判断された場合に、1年以内に請求を行う必要があります。
相続の分け前があったら、そもそも遺留分請求はできないホ!

遺留分侵害額請求には明確な期限が定められており、これを過ぎると権利を失ってしまう可能性があります。この章では、時効の仕組みや期限の起算点、失効リスクについて詳しく解説します。
遺留分侵害額の請求には2つの期限があります。
いずれか早い方が経過すると、遺留分侵害額請求権は時効により消滅します。相続の内容を知った時点での迅速な行動が求められます。
ここでいう「知った日」とは、相続の開始(被相続人の死亡)と遺言書や生前贈与などによって、自分の遺留分が侵害されていると知った日を指します。たとえば、遺言書の開示を受けた日や生前贈与がなされていたことに気づいた日がこれにあたります。この日から1年以内に請求を行わなければ、民法第1048条により、遺留分侵害額請求権は消滅します。
時すでに遅し…ってことにならないように注意だホ!
時効が成立すると、調停や訴訟を通じた請求も認められなくなります。本来得られるはずだった財産を受け取る機会を失うだけでなく、争う余地もなくなるため、損失は非常に大きくなります。特に「知らなかった」「迷っていた」などの理由は基本的に考慮されません。遺留分侵害額請求を考えているなら、早めの行動が求められます。

遺留分侵害額請求では、具体的にいくら請求できるのかを把握することが重要です。この章では、相続財産の評価方法や遺留分の割合、計算例をもとに具体的な算出方法を解説します。
遺留分の割合は、法定相続人の立場によって異なります。民法では以下のように定められています。
たとえば、配偶者と子ども1人が相続人で法定相続分が1/2であれば、遺留分は1/4になります。この割合を基に、遺産全体に対する請求額を算出していきます。
遺留分を計算するには、まず遺産総額を把握する必要があります。そのうえで以下の点を考慮して算出します。
これらをすべて足し引きし、遺留分権利者の法定相続分と遺留分割合を掛け合わせることで、最終的な請求可能な金額が導き出されます。
細かい計算は弁護士などのプロに任せるのもおすすめだホ!
たとえば、遺産総額が5,000万円、子ども2人の場合を想定しましょう。
法定相続分:5,000万円 ÷ 2人 = 2,500万円
遺留分割合:1/2 → 2,500万円 × 1/2 = 1,250万円(1人あたり)
仮に他方の子にすべての財産が贈与されていた場合、もう一方の子は1,250万円の遺留分侵害額請求を行うことが可能です。

遺留分侵害額請求を実際に行うには、どのような手続きで進めたらよいのでしょうか?この章では、請求の基本ステップや必要な書類、通知の方法まで流れを詳しく解説します。
遺留分侵害額請求は、以下のステップで進めるのが一般的です。
通知を出した日が「請求の行使日」とみなされるため、時効対策の観点でも通知は非常に重要です。日付が残る内容証明郵便にて送付しましょう。
手続きを行うために必要な主な書類は以下のとおりです。
これらは収集に時間がかかることもあるため、早めに準備を進めることが望まれます。
遺留分侵害額請求は、内容証明郵便を用いて通知するのが一般的です。内容証明で送付すれば、いつ・誰に・どんな内容の文書を送付したかを郵便局が証明してくれるため、個人的に送付するよりも効力があるとみなされます。
【通知文テンプレート例(抜粋)】
〇〇年〇〇月〇〇日
私は、被相続人〇〇の相続人として、遺留分侵害額を請求いたします。
貴殿に対して、遺留分相当額〇〇万円の支払いを求めます。
〇〇年〇〇月〇〇日までにご対応いただけますようお願い申し上げます。
必要な書類の手配や内容証明郵便の送付など、やることを整理するのがおすすめだホ!

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのか不安な方も多いでしょう。この章では、弁護士費用の内訳や相場、依頼すべきタイミングについて解説します。
弁護士費用は、以下の3つに分かれます。
依頼前に、これらの費用が見積書や契約書で明示されているか確認しておくと安心です。
弁護士費用は事務所ごとに異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
たとえば、1,000万円の遺留分侵害額を回収できた場合、報酬金として100〜200万円前後の支払いが発生することになります。
弁護士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
また、時効間近・相手が交渉に応じない・相続財産が複雑といった場合は、早めの相談が不可欠です。無料相談を行っている法律事務所も多いため、まずは一度相談してみるのがよいでしょう

遺留分侵害額請求は、相続人同士の対立や手続きの難しさからトラブルに発展するケースも少なくありません。この章では、よくあるトラブル事例とその対処法について具体的に解説します。
遺留分侵害額請求を行っても、相手方が交渉に応じないケースは少なくありません。こうした場合、家庭裁判所への調停申立てを検討することになります。調停は、裁判と比べて費用や時間の負担が少なく、第三者(調停委員)を交えて話し合いができるため、冷静な解決が期待できます。それでも決裂した場合は、遺留分侵害額請求訴訟に進むことになります。
遺留分侵害額請求は、家族間の信頼関係に影響を及ぼすことがあります。特に、見解や言い分の違いから、感情的な対立がどんどん大きくなっていくことがあります。このようなときは、第三者である弁護士に交渉を委任することで当事者同士で話をして感情的な衝突が膨れ上がっていくことを回避できます。 また、内容証明郵便などの書面を通じて行う方が、不必要に感情的な対立が増大しないこともあります。
調停でも話がまとまらなかった場合、家庭裁判所に訴訟を提起することになります。調停・訴訟では、法的な主張だけでなく、証拠の提出が重視されます。不動産評価額や贈与の証明書類、相続人の関係を示す戸籍などを事前に整えておくことが重要です。 また、調停・訴訟には時間がかかるため、初期段階から弁護士と連携し、交渉の段階で解決を目指すことが理想です。
万が一に備えて対処法を知っておくのも重要だホ

遺留分侵害額請求を確実に行うには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。この章では、請求を成功させるために意識すべき注意点や具体的な行動指針を紹介します。
遺留分侵害額請求において最も注意すべきなのが「時効」です。 遺留分の侵害を知ってから1年以内という短い期間で権利を行使しなければなりません。相続人の中には、「まだ大丈夫」と先延ばしにしてしまい、時効を迎えてしまうケースもあります。 不安や迷いがあっても、早期に資料を集め、通知を出すことが最優先です。
遺留分侵害額請求では、自分が相続人であることや相続財産の内容を証明する必要があります。
以下のような資料はあらかじめ揃えておきましょう。
証拠が不十分だと、請求が認められない可能性もあるため、正確な情報収集が重要です。
弁護士に依頼する際は、相続に詳しいかどうか、費用の透明性や、実績なども判断材料ですが、これらの情報は、法律の専門家でない相談者からは判断しにくい点もあります。依頼をした弁護士とは、早くても数か月、調停・訴訟を行うとしたら何年も連絡を取り合うことになりますので、ご自身と相性がよく、納得できる説明をしてくれる、と思える方に依頼することが重要です。無料相談を活用して弁護士にご自身の疑問としている点を相談してみるとよいでしょう。

ここまで遺留分侵害額請求の基本から手続き、トラブル回避のポイントまで解説してきました。最後に、請求を成功させるための要点を整理し、自分の権利を守るための行動をまとめます。
遺留分とは、法定相続人のうち特定の人に保障された最低限の財産取得権です。遺言や生前贈与によって本来の取り分が奪われた場合でも、遺留分侵害額請求という形で回復を求めることができます。請求には手続きや期限、書類の整備が必要であり、適切な対応が求められます。
相続は感情や法律が絡み合う繊細な問題です。自分で対処するのが難しいと感じたら、相続に強い弁護士への早期相談をおすすめします。初回無料相談を実施している事務所も多く、不安な気持ちを整理するための一歩としても有効です。
遺留分制度を正しく理解し、必要に応じて行使することで、自分の法的権利を守ることができます。泣き寝入りせず、冷静かつ根拠ある主張を行うことが、相続トラブルの予防と解決につながります。
1.富川法律事務所 / 富川 泰志 弁護士(北海道旭川市)
2.かしわ中央法律事務所 / 松尾 光二郎 弁護士(千葉県柏市)
3.はびきの未来法律事務所 / 安田 弘光 弁護士(大阪府羽曳野市)
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