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2025.06.11
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※この記事は、あさがお法律事務所 岡田 晃朝 弁護士が監修しています。
「独身の兄が亡くなったら、相続って誰がするの?兄弟?それとも他の親族?」 そう思う方もいるかもしれません。独身で配偶者も子どももいない場合、兄弟姉妹が相続人になることが多く、さらにその順位や手続きには注意が必要です。
この記事では、独身者が亡くなったときの相続順位の基本、兄弟姉妹が関わるケースの注意点、そしてトラブルを避けるための実践的なポイントについて解説します。

ここでは、独身者が亡くなった際に相続の権利がどう定まるのか、基本となる相続順位とその背景を詳しく見ていきましょう。
ある人物が亡くなり、相続が発生した場合、相続人や遺産を確定する際は家庭裁判所では以下の手順で進められます。
上記の順で手続きが進められ、その後、遺産の分割協議に入ります。もし①の段階で遺言が見つかった場合、遺言に書かれている内容が優先されるため、いわゆる「相続順位」に関係なく財産が割り振られることになります。
もし遺言がない場合は、法に則った手続きで相続を行う「法定相続」の手続きに移ります。法定相続において、亡くなった人の財産を相続する権利を持つ人のことを「法定相続人」と呼び、被相続人(亡くなった方)との関係性に基づいて相続の順位が定められています。
基本的には、配偶者→子→親→兄弟姉妹という順番で相続の権利が割り振られており、配偶者は常に相続人となります。そのため、配偶者に追加する形で、直系卑属(子や孫)や直系尊属(親や祖父母)が優先的に相続する仕組みとなっています。
実は兄弟姉妹の相続は優先度が低いんだホ!
独身者が亡くなった場合、配偶者への相続がないので、「子→親」もしくは「祖父母→兄弟姉妹」の順番に相続権が割り振られます。
もし被相続人に子どもがいない場合は、第2順位の尊属が相続人(一般的に、亡くなった方の父母)になります。父母が亡くなっている場合は、祖父母などが相続人となることが多いです。また、子も父母もいない場合は兄弟姉妹が相続人となりますが、兄弟姉妹も亡くなっている場合、その子ども、つまり甥や姪が代襲相続人となります。
しかし、きょうだいの代襲相続は一代限りなので、甥や姪の子どもまでは相続権が及びません。代襲相続については次のセクションにて詳しく解説します。
もしも法定相続人が誰もいない場合、その財産は最終的に国庫に帰属します。ただし、被相続人と生前に深いつながりがあった特別縁故者(生前に療養看護をしていた人など)は、家庭裁判所に申し立てを行うことで、相続財産の一部または全部を受け取れる可能性があります。しかし申し立てには期限があるため、迅速な対応が必要です。

独身者に子ども、親がいない場合、相続の権利は兄弟姉妹へと移ります。ここでは、兄弟姉妹が相続人となる具体的な条件や手続き上の注意点について詳しく見ていきましょう。
兄弟姉妹が相続人となるケースは、法定相続人の中でも比較的順位が低いため、発生頻度としては限定的です。しかし、独身者や配偶者・子どものいない方の相続ではよく見られるパターンです。兄弟姉妹同士の関係性が希薄な場合もあり、感情的な衝突に発展することもあるため、制度の理解と事前準備が重要なカギを握ります。
独身の兄弟姉妹が亡くなった際、親もすでに亡くなっていれば、兄弟姉妹が法定相続人となり、兄弟姉妹が複数人いれば法定相続分に応じて財産を分け合うことになります。相続財産には不動産、預貯金、株式、借金などが含まれます。
もし独身者が亡くなった時点で、兄弟姉妹もすでに亡くなっている場合、その子である甥や姪が「代襲相続人」となり、相続権を引き継ぎます。代襲相続が発生することで、思わぬ相続人が現れるケースもあり、財産の分配が複雑になることもあります。
代襲相続は一代限りでだから甥・姪の子どもまでは相続権が及ばないホ!
法律上、異母兄弟や異父兄弟でも相続権があります。ただし、全血兄弟(両親が同じ)と半血兄弟(父か母が違う)では、法定相続分が異なります。全血兄弟が2分の1、半血兄弟がその半分(4分の1)となりますので、遺産分割協議の際には公平性を保つためにも正確な理解が必要です。
相続はお金の問題だけでなく、感情や関係性のもつれが絡むことが多いため、トラブルに発展しやすいのが現実です。きょうだい間で「誰がより多く介護をしたか」「金銭的援助をしていたか」など、主観的な貢献度が争点になることもあります。実際には、介護を一手に引き受けたきょうだいが他のきょうだいに対して不満を持ったり、特定のきょうだいが被相続人と同居していたことが不公平と感じられたりします。こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、文書化された遺言書や、第三者を交えた相談体制の整備が不可欠です。

独身者の相続では、相続人が兄弟姉妹や甥・姪といった関係性が比較的希薄な場合が多い親族に限られることが多く、連絡の難しさなどから、さまざまなトラブルが生じやすい傾向があります。ここでは、実際に起こりやすい代表的な3つの問題と、その対策方法について解説します。
兄弟姉妹や甥・姪が複数人いる場合、誰がどれだけ財産を受け取るかで意見が分かれることがあります。相続財産に不動産が含まれる場合は特に、現物分割が難しくなるため、売却して現金化するか、誰かが代償金を支払う必要が出てきます。協議がまとまらないと、家庭裁判所の調停や審判に発展する可能性もあります。
故人の通帳、不動産、保険、借金などの情報が整理されていないと、相続人が何を相続するのか判断できません。さらに、借金も相続対象になるため、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も正確に把握しておく必要があります。どんな財産があるのかは遺産分割の基本となりますが、財産調査には時間がかかります。事前の備えとして財産目録を作成しておくと、いざという時のトラブルを未然に防げるでしょう。
疎遠な兄弟姉妹や甥・姪の連絡先が分からず、相続手続きが進まないケースも多く見られます。この場合、家庭裁判所で相続人の調査や不在者財産管理人の選任を行うことになります。場合によっては公告による相続人捜索を行う必要があり、時間と費用がかかる可能性もあります。
親戚の連絡先はなるべく把握しておくと安心だホ…

独身者の相続は複雑になることが多いので、生前からできる準備をしっかり整えておくことで、残された家族の負担を大きく軽減することが可能です。ここでは、今すぐに始められる相続準備のポイントを解説します。
遺言書はトラブル防止の強力なツールです。自筆証書遺言を家庭裁判所で検認する方法、公正証書遺言を作成する方法などがあります。専門家に相談すれば、形式不備による遺言書の無効を避けられるのでおすすめです。特に兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の意向が明確でないとトラブルになりやすいため、早めの作成が望まれます。
財産目録があると、相続人にとって極めて大きな助けとなります。預貯金、不動産、有価証券、保険契約、さらには借入金や未払金などの負債まで、資産と負債の両面を網羅的に把握できるようにしておくと、遺産分割の際も円滑に手続きを進めることが可能になります。
近年ではデジタル資産(暗号資産やネットバンクの口座など)も増えているため、手元に現物がない資産も多くあります。資産の記録を紙やエンディングノート、クラウド管理ツールなどで残しておくと安心です。 なお、記載内容は定期的に見直し、最新情報を保つようにしましょう。
相続に関する手続きは、法律や税金が絡むため非常に複雑です。自分たちだけで進めようとすると、相続登記の漏れ、税務申告の遅れ、遺産分割のトラブルなど、思わぬリスクを抱える可能性があります。
相続発生前から専門家に相談することで、事前の対策や必要な書類の整理を行うことができ、相続開始後の流れが格段にスムーズになります。司法書士や税理士、弁護士などの専門家は、相続に関する相談を無料で受け付けている場合もあります。特に、代襲相続や特別縁故者など複雑なケースでは、専門的な知見が欠かせません。早期に相談することで、トラブルの芽を事前に摘むことが可能になるでしょう。

独身者の相続は、配偶者や子がいないことで順位や手続きが複雑化しやすい特徴があります。また、被相続人と相続人の間でのコミュニケーション不足が、後のトラブルにつながることも多いのが現状です。この記事で紹介したような基礎知識や事前対策を理解しておくことが、スムーズな相続の第一歩となります。
独身者の相続では、兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる可能性があります。正しい相続順位の理解と、関係者との事前共有が円滑な手続きを支えます。生前からの準備が、相続人の精神的・経済的負担を軽減する大きなカギとなります。
少しでも不安がある場合は、司法書士や相続専門の弁護士に相談することをおすすめします。初回無料相談を活用し、手続きや必要書類の確認、遺言書の作成アドバイスなどを受けることで、確実な相続を実現できます。
特に不動産を含む相続や、相続人の数が多いケース、代襲相続や特別縁故者の可能性がある場合などは、専門家による丁寧なヒアリングと対策が効果的です。相続発生後に慌てないよう、早い段階での準備と相談が、あなたや家族を守る大切なステップになります。
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1.オレンジ法律事務所 / 辻本 恵太 弁護士(埼玉県)
2.福井スカイ法律事務所 / 伊賀 弘 弁護士(福井県)
3.影山法律事務所 影山 博英 弁護士(大阪府)
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