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Lawyers Column

2024.12.03

個人事業主が破産したらどうなる?必要な手続きや流れを解説

落ち着いて対応しよう

個人で事業を立ち上げたものの、資金繰りが怪しくなり会社を畳むことに…。そんなとき、不安や焦りで何から手をつけたらいいか分からず、何もできないまま時間だけが過ぎてしまうことも。
本記事では、個人事業主が自己破産をした場合にどのような手続きが発生するのか、何をしなければならないのかをまとめています。
万が一の事態が起きても焦らず対応できるように、ぜひご参考ください。

個人事業主が破産したときの流れ

個人事業主が自己破産してしまった場合、所有している事業や債務はどうなるのでしょうか。また、それらを適切に対処するために必要な手続きにはどのようなものがあるのでしょうか。
ひとつずつステップを確認していきましょう。

法律相談(弁護士への依頼)

自己破産を考えたときは、まずは弁護士へ相談してみることがおすすめです。
「借金が膨らんでいて返済する見込みもない」「経営や資金繰りを軌道修正する方法がない」など、人には言いづらい内容もあるかとは思います。

しかし、自分ひとりで悩みを抱え込んだ結果、どんどん事態が悪化していき、『すぐに対処していたら大きな問題にならずに済んだのに…』と後悔することになる可能性も。

また、自分では自己破産や会社を畳むしか残された道はないと感じていても、弁護士へ相談することで、自己破産ではなく任意整理や個人再生などの、比較的ダメージの少ない手段で対処できるというアドバイスをもらえるかもしれません。

自分自身の不安を少しでも解消するためにも、まずは弁護士へ相談をしてみましょう。

受任通知の発送

弁護士への相談の末、やはり自己破産をするしか方法がないという場合は、改めて弁護士へ自己破産の申し立てを依頼します。

自己破産に関する手続きは、依頼者と弁護士との共同の作業となります。
そのため、依頼者は最初に、自己破産手続きを弁護士へ依頼したことなどを記した契約書を弁護士と交わす必要があります。

契約が交わされ、弁護士が自己破産の依頼を正式に受任すると、弁護士から各債権者へ「受任通知」が発送されます。受任通知には、対象の自営業者(依頼者)が自己破産となり、その手続きを弁護士が受任した旨が記載されています。

この受任通知が届いた債権者は、原則としては、自営業者への請求や取り立てを停止します。そのため、経営難で苦しんでいたであろう自営業者にとっては、日々の取り立てや督促によるストレスから解放されることになるでしょう。

破産申立用の書類の作成

受任通知を発送した後は、自己破産を裁判所へ申し出るための「申立書類」の作成に移ります。
申立書類の作成も弁護士が中心となって作成してくれますが、書類の作成にあたって必要となる資料やデータなどは、当事者である自営業者側から提出する必要があります。弁護士の指示に従って必要な資料を用意しましょう。

破産申し立て

必要な資料やデータが揃い次第、弁護士は裁判所へ「破産申し立て」をおこないます。
破産申し立てが行われると、「破産尋問」として裁判所で自営業者自らが、破産に至った経緯や借金の金額などを話す場が設けられます。

破産管財人の決定と調査

破産尋問が終わると裁判所が破産手続の開始を決定し、これに伴い「破産管財人」が選ばれ、さらなる調査や情報収集が始まります。(例外的に管財人が選任されず、債権者集会がない場合がありますが、事業者の破産の場合は非常にまれです。)

破産管財人は、自営業者が最初に依頼した弁護士よりも強い権限を持つため、改めてその権限を行使して自営業者の詳細な債務状況や資産面などを調査します。

自営業者がそれぞれの債権者に対して負っている債務金額や、必要に応じて通帳の履歴なども確認され、自営業者の財産の状況や契約関係を洗い出します。

また、管財人は、回収できていない債権の回収なども行います。

もちろんこのときも、自営業者は破産管財人の調査へ協力する義務が発生するため、管財人に指示された書類やデータなどの提出をおこなわなければなりません。

債権者集会

破産管財人の手続きが終了すると、債権者集会が開かれます。債権者集会では、破産管財人が破産者(自営業者)の財産の状況を説明したり、必要に応じて免責の措置などについて関係者からの意見を求める場です。

債権者集会は裁判所で開かれ、裁判官や破産管財人、破産者(自営業者)、代理人(最初に依頼した弁護士)、債権者などが集いますが、基本的には銀行などの大手の債権者は出席せず、個人の債権者が稀に出席する程度です。

配当

債権者集会が終了すると、破産管財人は必要に応じて配当手続きをおこないます。配当には順番があり、税金や保険料、給与などを優先的に配当し、その後は所定の順序に従い配当していきます。

配当が完結し、裁判所が破産者(自営業者)に対して「免責許可決定」を出すことで、自己破産の手続きは完了となります。

破産時に必要になるお金

自己破産を申請すると、債権者からの取り立てや督促がストップするという点で、“自己破産すると支払い義務がなくなる”と感じてしまうかもしれませんが、実際には自己破産という手続きに対して、以下のように複数の費用が発生します。

弁護士費用

まずは弁護士費用です。弁護士への相談自体は無料でおこなってくれる事務所も多いですが、正式に依頼をするとなると、弁護士への費用の支払いが発生します。

弁護士費用は各事務所ごとに異なるので、一律にいくらと明言することが難しいため、弁護士への相談時に予め費用感を聞いておくと安心できるでしょう。
また、費用の概算は、日弁連が公開している「弁護士費用の基準」についての資料を参考にするのもおすすめです。事務所によっては分割払いにも対応していることがあります。

予納金

「予納金」は、破産管財人へ支払うお金です。裁判所での申し立ての後に選ばれた破産管財人は、破産管財人の権利をもって破産者の財産状況や債権者からの情報収集をおこないます。予納金は、この管財人の業務に対して支払うお金というイメージです。

例えば、自営業者がテナントを所有していた場合には、破産管財人の手続きの中でテナントの撤去・処分が必要となる可能性があります。
その際、テナントの撤去・処分に関わる費用などは、当たり前ですが破産者(自営業者)が負担することになります。
なお、実際には残余資産の額が、完全な原状回復の費用には足りないこともあります。その場合は、弁護士とともに賃貸人と協議して、相当の解決を目指すことになります。

手続きに関する費用

最後は手続きに関する費用です。予納金と似た意味に聞こえますが、ここでの「手続きに関する費用」とは、例えば印紙代や郵送にかかった費用などの細々とした項目を指します。

破産管財人はあくまでも破産者(自営業者)の代理で作業をしてくれているだけなので、予納金と同様に、破産処理に関わる費用までも負担してくれるわけではないということを念頭にいれておきましょう。

このように、自己破産をおこなった場合は複数の費用が発生します。手続きに伴う費用の発生という観点からも、資金が底を尽きてしまう前に早めに弁護士への依頼・手続きの開始に踏み込むことがおすすめです。

自己破産した場合でも事業を継続できる?

ここまで、自己破産した場合の流れをご紹介してきました。しかし、「一度自己破産をしてしまったものの事業は続けたい」「新しい事業で心機一転頑張りたい」と考える人もいるかもしれません。

結論から申し上げますと、自己破産した場合でも、事業の継続や立ち上げは可能です。しかし、自己破産したという情報は、信用機関情報に掲載されるため、金融機関からの融資は受けられません。また在庫や機械類、什器なども原則的には処分されますので、実際にはただちの再起が可能な業界は限られます。
同様に、ローンを組むことや、クレジットカードの作成・利用も制限されるので、資金面で大きく動きを制限されることになります。

必ず収益が確保できるという強い見込みがあれば、自己破産した後でも事業を継続できる可能性は高まりますが、“自己破産した”という事実が社会に与える効果は強力なので、自己破産しても次の事業で補えばよいというものではないことを念頭に置いておきましょう。

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破産は早めの決断が吉

どんな事業にも思いがけないトラブルで窮地に追い込まれることがあります。どうしても資金繰りがうまくいかない、資金調達の見込みがない、そんな場合にはまずは弁護士に相談してみるのがおすすめです。

手続きを進めていく中で、関係者に破産の事実が伝わってしまうことはありますが、弁護士には守秘義務があるので、最初の相談だけで話が周囲に漏れてしまうことはありません。
まずは一歩、今抱えている不安を解消するためだけでもよいので、お近くの弁護士へ相談してみてはいかがでしょうか。

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あさがお法律事務所

岡田 晃朝

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