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2024.12.25
Contents
【 目次 】
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離婚を考え、シングルマザーとして子どもを育てていく決意を胸に、将来への期待と同時に経済的な不安を感じている方も多いでしょう。「ひとりでやっていけるだろうか…」そんな心配は当然です。でも、安心してください。日本には、ひとり親家庭を支えるための様々な公的支援制度があります。
この記事では、シングルマザーが利用できる主な手当や助成金、サポートについて、「生活」「子育て」「就労」「相談」の4つの視点から分かりやすく解説します。制度の内容や申請方法、審査のポイントを知ることで、離婚後の生活を具体的にイメージし、不安を和らげることができます。情報を力に変えて、新しいスタートを切りましょう。
※本記事の内容は2025年5月末時点での内容です。
日々の生活を経済的に支える基盤となる制度です。安定した暮らしのために、まずはこれらの制度を理解しましょう。
ひとり親家庭等の生活安定と自立支援、児童の福祉増進を目的とした国が提供する重要な手当です。支給対象者は18歳年度末までの児童(障害児は20歳未満)を監護する母、父、または養育者。ただし、本人や同居家族に一定以上の所得があると、全部または一部が支給停止になります。事実婚状態(異性と生計を共にしている等)の場合も対象外です。
支給額は、受給資格者の所得額や、扶養する児童の数によって「全部支給」と「一部支給」に区分され、毎年度見直されます。
※実際の支給額は所得状況等によって個別に決定されるため、上記の金額は相場となります。
児童扶養手当は、住所地の市区町村役場の窓口で申請を行います。戸籍謄本、所得証明書、マイナンバー関連書類など多くの書類が必要になるので、事前にインターネットなどで必要書類を確認し準備してから赴くとよいでしょう。なお、児童扶養手当は申請月の翌月分から支給対象となり、すぐに受け取ることができるわけではないので、なるべく速やかに手続きするのがおすすめです。
また、児童扶養手当の支給については一定の審査が入り、所得(本人・扶養義務者)、子どもの監護状況、事実婚の有無などを厳しくチェックされます。場合によっては家庭訪問調査が行われることもあります。
さらに、無事に児童扶養手当を支給してもらえた場合でも、毎年8月に現況届の提出が必須となります。現況届とは、前年度の所得や家庭環境などを確認し、引き続き児童扶養手当の支給に適しているかを判断するものです。現況届の提出を忘れてしまうと、以降の児童扶養手当が支給されなくなってしまうので、忘れずに提出することが求められます。
もちろん、毎年8月の現況届の提出時期以外であっても、所得超過や再婚(事実婚含む)などで資格喪失した場合は、速やかな届出が必要です。
児童扶養手当をもらったら、毎年 現況届を提出!
家賃は生活費の中でも大きな割合を占めます。自治体によっては、ひとり親家庭を対象とした独自の住宅手当や家賃補助制度を設けている場合がありますが、自治体によって制度の有無や内容が大きく異なります。
例えば、東京都足立区では「ひとり親世帯家賃助成制度」があり、区内の民間賃貸住宅に居住し、一定の所得要件等を満たすひとり親世帯に対し、月額上限1万円の家賃助成を行っています。(2025年5月末時点)
このように、自治体によっては、家賃の一部を補助する独自の制度を設けている場合があります。都営住宅や市営住宅などの公営住宅の入居者募集の際に、ひとり親家庭向けの枠が設けられたり、抽選時にポイントが加算されたりするなど、入居しやすくなるような優遇措置が取られていることがあるので、ぜひ地域ごとの情報を調べてみましょう。
住んでる場所で手当・補助の内容は変わるホ!
所得が一定の水準を満たしていない場合、申請により国民年金や国民健康保険料の支払いが免除・減額・猶予されることがあります。(所得状況に応じて内容は変動)
国民年金は、前年の所得が基準以下であれば、全額または一部免除、もしくは納付猶予(50歳未満対象)が可能です。免除・猶予期間も年金の資格期間に算入されますが、将来の年金受給額は減少してしまう点には注意が必要です。
国民健康保険は、所得に応じた自治体独自の減免制度や、リストラ等による非自発的失業者のための軽減措置があります。いずれも、役所の担当課(国民年金課、国民健康保険課)への申請が必要です。将来の年金受給権や医療保障を確保するためにも、未納にせず保険料負担を軽減することからまずは始めましょう。
低所得世帯などが、一時的に必要な生活費や教育費などを無利子または低利子で借りられる公的な貸付制度です。お住まいの市区町村の社会福祉協議会などで返済計画も含めて相談できるので、興味がある方は利用してみてはいかがでしょうか。
子育てにかかる費用負担を軽くし、お子さんの成長を応援する制度です。
高校修了(18歳年度末)までの児童を養育する家庭に支給されます。シングルマザー家庭に限りませんが、重要な収入源です。
手当付与に関する所得の上限はありませんが、離婚後は新たに申請が必要です。現況届の提出が求められるケースもあります。
子どもの医療費(保険診療の自己負担分)を自治体が助成する制度です。自治体差が大きい制度のため、詳しくはお住まいの自治体でのルールを調べてみてください。対象年齢は中学卒業までが一般的ですが、高校卒業まで拡大する自治体も増加中。全額助成か一部負担ありか、所得制限の有無も自治体次第です。また、申請は出生・転入時に手続きすることが多く、医療証を医療機関で提示することで制度を利用できるようになります。
経済的理由で小・中学校への就学が困難な家庭に、学用品費、給食費、修学旅行費などを援助する制度です。対象者は生活保護世帯、またはそれに準ずる程度に困窮していると認定された世帯(所得基準あり)になります。制度を利用する際は、学校または教育委員会へ申請が必要となり、年度途中からでも相談可能です。
保育料に関して、国の制度では、3~5歳児は原則無償、0~2歳児は住民税非課税世帯が無償、となっています。さらに、自治体によっては、ひとり親家庭に対し独自の保育料軽減措置(所得に応じた減額、第2子以降の割引など)を設けている場合があります。役所の保育担当課で確認しましょう。
自身が病気になったり、冠婚葬祭、出張などで一時的に子どもの世話ができなくなったりする場合に、サポートを受けられる制度です。自治体が主体となり、家庭生活支援員(ヘルパー)を派遣して、食事の世話や身の回りの世話、保育施設への送迎などを行ったり、支援員の自宅や児童館などで子どもを一時的に預かったりしてくれます。
利用料金は、所得に応じて無料または低額な利用料が設定されている場合が多いので、ぜひ困った時は利用してみてはいかがでしょうか。また、利用の際は事前に自治体への登録が求められる場合がほとんどです。いざという時にスムーズに利用できるよう、あらかじめお住まいの自治体の福祉課や子育て支援課に問い合わせて、制度内容や登録方法を確認しておくと安心です。
安定収入を得て自立するためにも、スキルアップや就職活動を支援する制度についても把握しておきましょう。
ひとり親家庭などが、子どもの修学資金や親の技能習得資金などを、無利子または低利子で借りられる制度です。就職支度や転宅資金などにも使われることが多いので、資金面での不安がある方はまずは相談してみるとよいでしょう。相談や申請窓口は、自治体の福祉担当課や母子・父子自立支援員などがあります。なお、貸し付けの際には審査がある点だけ注意が必要です。
指定された教育訓練講座を受講した場合、受講費用の60%(上限あり)が支給される制度です。対象講座例は、医療事務、介護、PCスキルなど就職に繋がるものが多く設定されています。給付金を受けたい場合は、受講開始前に自治体への事前相談や申請が必要となります。
看護師や保育士など、1年以上の養成機関での修業が必要な資格を目指す場合に、修業期間中の生活費(月10万円程度など)が支援される制度です。対象資格としては、看護師、介護福祉士、保育士、理学療法士などです。こちらも修業開始前に自治体への事前相談・申請が必須となります。
経済的なこと以外にも、様々な悩みが出てくるかもしれません。頼れる相談先を知っておきましょう。
各自治体に設置してある子育て支援課・福祉課などでは、各種手当の申請受付のほか、利用できる制度全般の情報提供や、専門機関への紹介をしてくれます。
福祉事務所などに配置され、生活、子育て、就労、養育費など、ひとり親家庭特有の悩みについて専門的な立場で相談に応じてもらえます。
DV被害や住宅困窮などで支援が必要な母子が、子どもと一緒に入所し、保護や自立支援を受けられる施設です。入所希望の場合は、福祉事務所等に相談しましょう。
食料支援(フードバンク)、学習支援、交流会、相談事業など、行政だけではカバーしきれない多様なサポートを提供しています。具体的なサポート内容は、インターネット検索や自治体からの紹介で探すことが可能です。
ぜひ身の回りの支援を活用してみてほしいホ!
シングルマザーとして歩む道には、経済的な不安がつきものですが、あなたと子どもを支える公的な支援はたくさんあります。生活支援、子育て支援、就労支援、そして相談窓口。これらの制度を知ること、そして活用することが、安定した生活への第一歩です。
この記事を参考に、ご自身の状況に合わせて利用できる制度を確認し、積極的に行動を起こしてください。あなたは一人ではありません。利用できる制度や相談窓口を頼りながら、前向きに新しい生活を築いていきましょう。
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