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2024.12.25
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【 目次 】
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「スイッチOTC」という言葉を聞いたことがありますか?ドラッグストアや薬局で購入可能なOTC医薬品の中には、昔は医師の処方箋が必要だった医薬品があります。それが「スイッチOTC」と呼ばれる医薬品です。
この記事では、スイッチOTCがどのようなものなのか、OTC医薬品のメリットや気をつけるべきポイントについてわかりやすく解説します。また、病院に行かなくても買えるようになった理由や、どのような医薬品がスイッチOTCになっているのかも併せて紹介しますので、最後まで確認してみてください。
薬のことを知ると、毎日の生活がもっと安心で便利なものになります。
「スイッチOTC」というのは、簡単に言うと「医師の処方が必要な薬だったけど、ドラッグストアで買えるようになった薬」のことです。OTCは「オーバー・ザ・カウンター」の略で、カウンター越しに気軽に買える薬ということを意味します。
一方で処方薬はカウンターの内側(調剤室)に薬が保管されており、患者さんが直接手に取って選ぶことができません。処方箋に応じて必要量を薬剤師が準備してお渡しする流れになっています。OTCはドラッグストアのように、薬の箱が陳列されているもの。処方薬は調剤薬局のように、処方箋を渡した後、店の奥で薬の準備を待つといったイメージが分かりやすいでしょうか。
この章ではスイッチOTCがどんなものか、なぜスイッチOTCが誕生したのかを詳しく見ていきましょう。
スイッチOTCとは、昔は医師の処方箋がないと手に入らなかった薬が、1983年以降に薬局やドラッグストアで患者さん本人が選択して購入できるようになった医薬品のことを指します。例えば、解熱鎮痛剤や胃腸薬などがあります。
処方箋医薬品として長年使用され、安全性がしっかり確認されていて、使い方が簡単で分かりやすいものがスイッチOTCとして選ばれる傾向にあります。ドラッグストアや薬局で薬剤師に相談しながら買えるので、安心して使えるように工夫されています。
ちょっとした注意点ですが、パッケージに「スイッチOTC」と書いてあるわけではないので見分けることは難しいです。ですが、スイッチOTCは身近に存在します。なにより、元処方薬が病院に行かなくても手に入るのが一番のポイントとなります。
スイッチOTCが誕生した背景を紹介する前に、そもそも「セルフメディケーション」という言葉は聞いたことがありますか?「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な体の不調は自分で手当てすること」とWHOで定義されている用語で、病院やクリニックに行くほどではないけれど、ちょっと体調が悪い場合にOTC医薬品を使用しようといった考え方を指します。
実際に、病院やクリニックでの診察から処方までには、数十分~数時間かかることが一般的ですが、ドラッグストアや調剤薬局であれば、薬剤師に相談する時間も含め数分で済ませることが可能なため、軽度の症状であれば、薬局で薬を購入し自宅で服用・安静に過ごすほうが効率的と言えるでしょう。
しかし、市販薬(OTC)と処方薬では成分が異なったり、「市販薬は効果が弱い」といった認識がなされたりしているため、いくら効率的とはいえ、OTC医薬品を選ばない患者さんも少なくありません。
そこで、長期的に使用された処方薬で安全性が確認できた薬も、薬局で買えるようにしようというスイッチOTCのアイデアが誕生しました。スイッチOTCの導入は、医療費削減にもつながる可能性があり、OTC医薬品の使用促進が進められています。
今では、風邪薬や解熱鎮痛剤、胃腸薬、花粉症、水虫など幅広い種類のスイッチOTCが存在しています。スイッチOTCの具体例は次の章で詳しく解説しています。
近くの薬局で買えるのはとっても便利だホ!
スイッチOTCにはいろいろな種類があり、身近な症状に使える薬が揃っています。ここでは、代表的な3つのスイッチOTCを紹介します。紹介する成分や商品名はあくまで一例なので、使用方法や症状に応じて選択してください。
まずは解熱鎮痛剤です。頭痛や発熱は日常的にも頻発しやすく、またすぐに対処したい症状のひとつではないでしょうか。解熱鎮痛剤は、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの成分がよく知られており、これらの成分が含まれる解熱鎮痛剤として、「ロキソニンS」や「カロナールA」が挙げられます。「ロキソニンS」も「カロナールA」も元々は病院で処方されていた処方薬。長い実績と安全性の確保で、薬局でも手軽に購入できるようになったスイッチOTCの一種です。
次は胃腸薬です。胃腸薬は胃もたれや胸やけ、吐き気のするときなどに使用される薬です。スイッチOTCになった胃腸薬には、胃酸を抑えるものや消化を助けるものがあり、例えば、ラベプラゾールやイトプリドといった成分を含む薬が代表的です。主な製品としては「パリエットS」や「イラクナ」が挙げられます。これらの胃腸薬がスイッチOTCとなったことで、日常的に起こりうる食べすぎや、ストレスによる胃の不調などの場合に、手軽に購入しすぐに服用できるようになりました。
最後に、花粉症や鼻水の症状に使われるアレルギー薬です。春になると花粉症の方のためにドラッグストアの店頭に多く登場します。スイッチOTCになったアレルギー薬には、フェキソフェナジンやロラタジン、フルチカゾンといった成分が含まれています。病院に行かなくても、薬局で買ってすぐ飲めるので、花粉の季節に大活躍します。主な製品として「アレグラFX」や「クラリチンEX」「フルナーゼ点鼻薬」が挙げられます。
薬局で病院で処方される薬が手に入るようになった便利なスイッチOTCですが、注意点もあります。それは、スイッチOTCとなった薬を長期的に使い続けるのではなく、2週間ほど使用しても症状が改善されない場合や、服用しても症状が悪化する場合には、スイッチOTC医薬品だけに頼るのではなく早めに受診することです。
もとは病院で処方されていた薬とはいえ、継続的に飲み続けても症状が改善されないということは、服用している薬が症状に適していない可能性や、別の病気が隠れている可能性があります。症状を悪化させないためにも、服用しても効果が見られない場合は、速やかに病院で医師の診断を受けましょう。
OTC医薬品には多くのメリットがあります。例えば、病院に行く手間が省けたり、総合的に見てお財布に優しかったり、すぐに使えることなどです。これらの代表的な3つのメリットについて解説します。
1番のメリットは、病院に行かなくても、昔は処方箋が必要だった薬が手に入ることでしょう。例えば、頭痛がするときや鼻水が止まらないとき、わざわざ病院で待たなくても薬局で元処方薬がもらえるのであれば利用しようと思いませんか?また、仕事や学校で忙しいとき、病院に行く時間が取れない人にはとても助かることだと思います。
基本的にスイッチOTC医薬品は、パッケージや同封されている説明書を確認すれば問題なく使用していただけると思いますが、他にも服用している薬がある人は、店舗にいる薬剤師に相談すれば、飲み合わせを教えてくれるので、初めてでも安心して使用可能です。また、自分のペースで薬を手に入れることができるので、薬を飲み切ってしまって次の受診まで薬が飲めないという悩みも解消されます。受診の待ち時間や薬局での待ち時間といったストレスが減るのは、スイッチOTCの大きな魅力です。
病院の混み具合も気にしなくていいホ!
2つ目のメリットは節税に繋がることです。医薬品には「セルフメディケーション税制」という制度があります。ドラッグストアや薬局で「セルフメディケーション税 控除対象」のマークがついた医薬品を購入すると、医療費控除の特例の対象となります。セルフメディケーション税制では、対象OTCの購入金額が、生計を同じくする家族分を合計して年間1万2000円を超えた場合に確定申告すると、その超過分の金額(上限8万8000円)が課税所得から控除され、税金が安くなります。
もしセルフメディケーション税の控除対象となるOTCを購入された場合は、確定申告の際に使うのでレシートを保管しておくようにしておきましょう。また、スイッチOTC以外の医薬品でも、セルフメディケーション税控除対象のマークがあれば、控除の対象となるのでパッケージをよく確認してみてください。
薬をよく購入する人は要チェックだホ!
3つ目のメリットは、病気に対してすぐに対応できることです。OTC医薬品であれば、体の調子が悪いなと思ったときにドラッグストアや薬局ですぐに薬を購入し対処できます。例えば、病院が開院していない時間帯に熱があると感じたときでも、開院を待たずにすぐに解熱剤を購入し服用できます。病院に行くとなると、翌日まで待ったり、受診し薬局に行ったりする時間が必要となりますが、OTC医薬品はお近くのドラッグストアなどで対処が可能です。
また、予備薬として事前に購入して保管しておくことも可能です。予備薬として自宅に薬を保管しておくと、軽い症状のうちから早めに服用でき、症状がひどくなることを防げる可能性があります。風邪やアレルギーなど、早めにケアしたいときにぴったりですね。
なお、服用を1週間~2週間継続しても改善しない場合には受診するようにし、いつからOTC医薬品を使用しているか伝えるようにしましょう。
OTC医薬品は、病院に行かずに自身で健康管理することが可能であることが最大の特徴です。自分自身で判断し服用できることは便利な反面、間違った使い方をしてしまうと効果を得られないだけでなく、新たに別の体調不良を引き起こす可能性もあります。
また、飲み合わせに注意が必要なものも存在するため、知らずに複数の薬を併用してしまったことで効果を弱め合ったり、効果を強めすぎたりと、体への悪影響につながる可能性もあります。服用している薬が複数ある場合は、薬の購入時に薬剤師に相談するようにしましょう。
最後に、症状が改善するからとOTC医薬品を漫然と使い続けることは避けましょう。効果があったから、という理由で薬を服用し続けたとしても、根本的な病状の解決には至っていないこともあり、病気が治った気になってしまっている場合もあります。そのため、スイッチOTC医薬品だとしても、漫然と使用を続けるのではなく、定期的に医師に診てもらったり、健康診断を受診したりして、専門家に診てもらうこともオススメです。
スイッチOTC医薬品はあくまでも応急処置・初期対応ってことだホね!
スイッチOTCは、病院でしか手に入らなかった薬が薬局で買えるようになり、毎日の生活を便利にしてくれる素晴らしいものです。解熱鎮痛剤や胃腸薬、アレルギー薬など、すぐに対処したいような症状に使える薬が揃っていて、使いやすくすぐに手に入るのが魅力です。
ですが、漫然と使用を続けたり、使い方を間違えたりしないように気をつける必要があります。分からないこと、不安な事がる場合は薬剤師さんに相談したり、説明書をしっかり読んだりして、安全に使用しましょう。スイッチOTCをはじめとしたOTC医薬品を上手に使えば、体調が悪いときでも安心して過ごせます。ぜひ試してみてくださいね!
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