Lawyers Column

2025.04.28

オンライン診療・服薬指導の流れと知っておきたいポイント

オンラインで診断!

病院に行く代わりにスマートフォンやパソコンを使って診察を受けられる「オンライン診療」という言葉を耳にしたことはありませんか? 加えて、薬の説明や受け取りもできる「オンライン服薬指導」も存在します。

これらは、忙しい毎日を送る人や遠くに住む人にとって、とても便利なシステムです。ですが「難しそう」「正しく診察してもらえるの?」「どんな流れで進むの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。

この記事では、オンライン診療とオンライン服薬指導がどのようなものか、メリット・デメリットがあるのかを、わかりやすくお伝えします。自宅で全て完結できる可能性のあるオンラインサービスについての理解を深めていきましょう。

オンライン診療ってなに?

オンライン診療とは、病院やクリニックに行かなくても、インターネットを通じて医師と顔を合わせて診察を受けられるサービスのことです。スマートフォンやパソコンのビデオ通話機能の使用が必須となりますが、自宅や出張先、旅行先にいながら症状を相談したり、治療方針を決めたりすることができます。

ただし、症状や疾病の内容・程度によっては通常通りの対面での受診が必要となるケースも存在するので、すべての症状・疾病で利用できるわけではない点には注意が必要です。

オンライン診療やオンライン服薬指導は、コロナ禍で「なるべく人との接触を減らしたい」というニーズが高まったことから注目されるようになりました。ですが、それ以外にも普段忙しくて病院に行く時間が取れない人や、近くに病院やクリニック、薬局のない人にとっても、新しい選択肢として広がってきています。

自宅が病院の診察室になるんだホ!

オンライン服薬指導も一緒に

オンライン診療を受けて薬の処方が必要と判断された場合は、薬局に行かなくても薬を受け取ることが可能です。その1つが「オンライン服薬指導」です。

オンライン服薬指導では、薬剤師がオンライン診療と同じようにビデオ通話で薬の使い方や注意点を丁寧に教えてくれます。さらに、薬を自宅に郵送してもらうことも可能なので、自宅から一歩も外に出ることなく医師の診断~薬の処方を受けることが可能となります。
※種類によっては郵送することができない医薬品も存在します

オンライン服薬指導は、オンライン診療とセットで利用されることが多いですが、どちらか一方だけを使用することももちろん可能です。

オンライン診療・服薬指導の流れは?

病院に行かなくても受診できるオンライン診療は便利なサービスですが、「オンラインで診察や薬の説明を受けるって、どんな感じなんだろう?」と想像がつかない人もいるかもしれません。

ここからは、オンライン診療の流れを紹介します。オンライン診療はの流れはシンプルで、普段からスマートフォンやパソコンを使用している方にとっては、初めての利用でも迷わず進められるでしょう。

診療の流れ

オンライン診療は「専用アプリを利用して受診する」方法と、「病院・クリニックとビデオ通話を繋いで受診する」方法の2種類に分かれます。

専用アプリを利用する場合は、事前にアプリをダウンロードしたり、アプリ内で患者の情報を入力するなどの事前準備が必要となります。

いずれの方法の場合でも、オンライン診療の予約が済んだら、指定された時間にスマートフォンやパソコンを使ってビデオ通話をつなぎましょう。本人確認を行うことがあるので、身分証を手元に用意しておくとスムーズな診察が可能です。また、必要に応じてカメラに向かって症状を説明したりお薬手帳の内容を見せたりすることもあります。

診察が終わると、今後の注意点や生活でのポイント、薬の受け取り方法へと話が進んでいきます。

このように、オンライン診療といっても、診察の流れや内容は基本的に対面での診察と変わりなく、受診時に自分が病院にいるか自宅にいるかの違いが大きなポイントです。

【オンライン診断の流れ】

①受診予約:専用アプリや電話、インターネットなどを通してオンライン診療を予約する
②Web問診:専用アプリ上もしくはインターネット上で問診票に記入する
※③オンライン診療用アプリのインストール:「Zoom」などのオンラインツールを利用して受診する場合は事前にアプリをダウンロードしましょう
④クレジットカード情報の登録:専用アプリや、病院・クリニック指定のシステムへ登録する
⑤診察開始:予約時間の5~10分前から待機しておくのがオススメ
⑥診察後:薬の受け取り、今後の予定の確認など

ちゃんとつながるネット環境も大事だホ!

薬の受け取り方法は?

オンライン診察で薬が出ることになった場合、受け取り方には大きく2パターンあります。

①院内処方やアプリ内完結による郵送
②処方箋が発行され、患者さんが対応する

①に関して、場合によっては病院側・提携薬局側から直接患者さんの自宅へ薬を配送してくれることもあります。この場合は、診察から薬を手にするまで一歩も外に出なくて済むので便利です。

しかし、あくまでもオンラインで対応できるのは診察まで、という②のような場合もあります。この時は以下の方法で薬を処方してもらいます。

②-1.希望する薬局に処方箋を共有してもらい、薬を受け取る
②-2.希望する薬局に処方箋を共有してもらい、オンライン服薬指導後に郵送受け取り
②-3.処方箋が自宅に届くのを待ち、後日持参して薬を受け取る

全て自宅で完結できる方法ありますが、薬の種類によっては郵送ができない場合もあります。また、場合によっては当日や、診療後すぐに薬を受け取ることができないケースもあるので注意しましょう。

対面での診察みたくすぐに薬がもらえないこともあるホ…

オンライン診療・服薬指導のメリット

オンライン診療やオンライン服薬指導には、使ってみると実感できるメリットがたくさんあります。もちろん、患者さんだけでなく医療従事者にも同様にメリットがあります。ここでは、そのメリットについて紹介します。

患者さんにとってのメリット

よく言われるメリットを簡単にまとめると「誰にも会わずに時間通りに診察が完了する」といったところでしょうか。

オンライン診療を利用すると、移動距離や移動時間、診察前後の時間などを気にする必要がなくなります。交通の便が悪い場所や悪天候、一人で外出できない場合など様々なシーンで活用されています。そのほかに、以下のような事情がある方には特に便利でしょう。

・病院まで車で1時間かかる場所に住んでいる人
・子育て中で子どもを連れて待合室で待つのが大変な親御さん

病院に行くこと自体が大変なときもあるホね…

また、感染症が心配な時期には、人混みを避けられるのも大きな魅力です。風邪をひいたとき「病院に行ったら他の病気をもらっちゃうかも」と不安になりますよね。その他にもオンライン診療のメリットはこんなにたくさんあります。

・距離を気にせず利用ができる(ネット環境があれば)
・時間を効率的に使用できる(診察時間が決まっている)
・受診機会が増える(受診を諦めなくていい)
・患者同士の接触がない(感染の心配がない)
・夜間や休日でも対応可能な薬局が見つかりやすい

いつでもどこでも診療を受けることができるのがオンライン診療・服薬指導の魅力です。

医療従事者のメリット

オンライン診療は患者さん側のメリットに注目されがちですが、医療従事者にとってもメリットがある診察方法です。患者さんのメリットと似ていますが、医療従事者にとっても「いつでもどこでも診察・服薬指導できる」という点で、

・時間とコストの効率化
・移動距離の解消
・患者さんとの接触機会減少
・柔軟な働き方

といったメリットを享受できるようになりました。

移動時間が必要ないので、その分多くの患者さんの診察が可能となり、遠方の患者さんが専門医に診察してもらうことも可能です。また、必ず診察室で実施する必要はないので、自宅など好きな場所で行うことができ、ワークライフバランスの改善にもつながる可能性があります。

患者さんとの直接の接触が無いため医療従事者自身の健康リスクを軽減しつつ、安全に業務を継続することが可能となり、患者さんと医療従事者、双方にとって「楽になる」仕組みといえそうです。

まさに次世代の診察方法だホ!

オンライン診療・服薬指導のデメリット

もちろん、オンライン診療は良いことばかりではありません。ここでは、どんなデメリットがあるのかお伝えします。

疾病によっては利用できない

オンライン診療では、必ずしもすべての病気に対応できるわけではありません。基本的に初診急病・急変患者さんは対面での診察が必要になるケースがほとんどです。反対に、オンライン診療が適するのは慢性疾患と言われる、安定した状態の病気(糖尿病や高血圧、気管支喘息、逆流性食道炎など)です。

違いを分かりやすくすると以下の通りです。

・風邪や花粉症のような軽い症状:オンライン診療
・心臓の病気や大きなケガ:詳しい検査が必要になるためオンライン診療不可

心臓の病気や大きなケガの場合、医師が直接触って確認したり、機械を使って調べたりする必要があるので、オンライン診療では診断ができません。また、単なる頭痛ではなく「頭がひどく痛い」といった症状がある場合、頭痛の症状が偶然強くなっただけなのか、それとも手術が必要な脳の病気なのか、画面越しで判断するのには限界があります。

オンライン診療は便利な診察方法ですが、患者の病状の程度によっては対面での診察も視野に入れましょう。

実際に診てもらうことが大事なときもあるホ!

また、初診の場合は麻薬向精神薬の処方ができません。「他の病院でいつももらっている薬が欲しい」といった理由や、仮に使用中の薬剤であっても処方できない場合があることを理解しておきましょう。

検査・処置は行えない

オンラインでは診療では、当たり前ですが医師が触れたり、詳しく見たりすることができません。
具体的には以下のような診察はできません。

・レントゲンによる検査
・感染症の特定
・聴診器を当てる
・注射
・傷の処置

たとえば、「足・腰の痛み」を感じてオンライン診療を実施したとしても、レントゲンを撮ることもできませんし、テーピングなどもしてもらうことができません。
結局、「一度来てください」と言われる可能性もあるので、状況によってはオンラインだけでは解決しないケースが出てくることもあります。

デジタルデバイスが苦手な場合は難しい

スマートフォンやパソコンを使うのが苦手な人にとっては、オンライン診療自体がハードルになることもあります。デジタルデバイスが苦手な人にとって、予約からオンライン診療の実施までの全てが苦に感じることもあるかもしれません。

おじいちゃんやおばあちゃんが「画面がつながらない!」「どこをどうすればいいのかわからない」「予約時間になったけどどうすればいいの?」と困ってしまう姿を想像してみてください。慣れてしまえば簡単な操作がほとんどですが、最初から諦めてしまう方が多いのが実際です。

まとめ

オンライン診療とオンライン服薬指導は、現代の生活に寄り添った便利なサービスです。自宅から医師や薬剤師とつながることが可能で、時間や距離の壁を越えて医療を受けられるのが大きな魅力です。

一方で、すべての病気に使えるわけではなく、検査や処置が必要な場合には限界もあります。また、デジタル機器に慣れていない方にとってはハードルが高く見えてしまうのが現状です。

しかし、それでも自分の症状や生活スタイルに合わせて上手に取り入れれば、日々の健康管理がぐっと楽になるはずです。これからもっと技術が進化すれば、オンライン診療の可能性も広がっていくでしょう。まずは「どんなものか試してみようかな」と気軽に始めてみませんか? きっと、新しい医療の形に驚きと安心を感じられるはずです。

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Writer

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トリス(薬剤師T)

薬局で知りたい・聞きたい情報を発信中

元MR、現在は調剤薬局薬剤師とWebライター
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