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2024.12.25
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【 目次 】
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近年、手軽な移動手段として注目を集めている電動キックボードですが、その利便性の裏側で事故の増加が懸念されています。
「電動キックボードは便利そうだけど、事故を起こしたらどうなるんだろう?」
「もし事故に遭ってしまったら、泣き寝入りするしかないのかな?」
そんな不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、電動キックボード事故の実態を様々な事例を通して解説し、加害者と被害者の両方の立場から、事故のリスクと対策について徹底的に解説します。
万が一事故に遭ってしまった場合の対処法や、賠償問題についても詳しく解説しますので、ぜひ最後までお読みください。電動キックボードの利用を検討している方だけでなく、街を歩くすべての方にとって、安全意識を高める一助となることを願っています。
電動キックボードとは、電動モーターを搭載した立ち乗り式のスクーターです。近年、シェアリングサービスの普及や法改正により、街中で見かける機会が増えました。
2023年7月1日の法改正により下記のような交通ルールに変更になりました。
原動機付自転車として扱われ、運転免許証の携帯、ヘルメットの着用、ナンバープレートの装着、自賠責保険への加入が義務付けられていました。また、走行場所は車道に限られていました。
一定の要件を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」として扱われることになりました。これにより、16歳以上であれば運転免許は不要となり、ヘルメットの着用は努力義務となりました。
また、最高速度20km/h以下であれば、歩道(特例特定小型原動機付自転車として、6km/h以下に速度制限)も走行可能になるなど、規制が緩和されました。
特定小型原動機付自転車の具体的な一例としては、一部の電動アシスト自転車も該当します。上記の基準に満たない場合は車両区分(一般原動機付自転車又は自動車)に応じた交通ルールが適用されます。
走行の際は事前に交通ルールや警視庁のHPなどを確認し、情報収集する意識を持つのが事故の防止にも繋がります。
電動キックボードの購入を検討している方は基準をよく確認し、歩道を走行できるものにするのか、車道を走行できるものにするのかよく検討した方がよいでしょう。
このように、電動キックボードは法改正によって手軽に利用できるようになった一方で、交通ルールや安全対策をしっかりと理解しておく必要があります。
使う前にルールをちゃんとチェックしよう!
電動キックボードの普及に伴い、事故件数も増加傾向にあります。警察庁の発表によると、電動キックボード関連の事故件数は年々増加しており、死傷者も出ています。事故原因としては、信号無視、一時不停止、安全確認不足などが挙げられます。事故の形態としては、歩行者との接触事故、自動車や自転車との衝突事故、自損事故などがあります。
特に、法改正によって歩道走行が可能になったことで、歩行者との接触事故のリスクが高まっています。また、電動キックボードは車体が小さく、他の車両から視認されにくいという特性も、事故を誘発する要因となっています。
もし、電動キックボードで事故を起こしてしまった場合、加害者として法的責任を問われる可能性があります。ここでは、具体的な事例を通して、加害者になった場合のリスクと対応について解説します。
状況: Aさんは、法改正で歩道走行が認められた電動キックボード(特定小型原動機付自転車)に乗って、通勤途中に歩道を走行していました。急いでいたAさんは、周囲の安全確認を怠り、歩行者Bさんに衝突してしまいました。Bさんは転倒し、骨折の重傷を負いました。
問題点: Aさんは、歩道での走行中、歩行者の安全を最優先に考慮する義務を怠りました。法改正で歩道走行が認められたとはいえ、歩行者が優先されることに変わりはありません。Aさんの不注意が、Bさんの重傷という結果を招いてしまいました。
法的責任: Aさんは、過失傷害罪に問われる可能性があります。また、Bさんの治療費や慰謝料などの損害賠償責任を負うことになります。さらに、刑事責任とは別に、民事責任として慰謝料や逸失利益(Bさんが怪我で働けなくなった期間の収入減)などを請求される可能性もあります。
状況: Cさんは、交差点で赤信号を無視して電動キックボードで進入し、青信号で直進してきた自動車Dと衝突しました。Cさんは転倒し、軽傷を負いましたが、自動車Dも破損しました。
問題点: Cさんは、信号無視という重大な交通違反を犯しました。信号は、交通の安全を確保するための重要なルールであり、これを無視することは、重大な事故に繋がる可能性があります。
法的責任: Cさんは、道路交通法違反に問われることになります。また、自動車Dの修理費用や、Dさんが怪我をした場合はその治療費などの損害賠償責任を負うことになります。さらに、自身の怪我についても、自賠責保険の適用範囲外となる可能性があります。
状況: Eさんは、友人との飲み会で深酒をしてしまい、帰宅時に電動キックボードを運転しました。酩酊状態だったEさんは、バランスを崩して転倒し、頭部を強打しました。幸いにも命に別状はありませんでしたが、意識不明の重体で入院することになりました。
問題点: Eさんは、飲酒運転という極めて危険な行為を行いました。飲酒運転は、判断能力や運動能力を著しく低下させ、重大な事故を引き起こす可能性が高まります。
法的責任: Eさんは、道路交通法違反(酒気帯び運転)に問われることになります。また、自身の怪我の治療費は、自賠責保険の適用範囲外となる可能性が高く、高額な医療費を自己負担しなければならない可能性があります。また、周囲の人に迷惑をかけたことへの社会的責任も問われるでしょう。
電動キックボードによる事故は、運転者だけでなく、歩行者や他の車両の運転者も被害者となる可能性があります。ここでは、具体的な事例を通して、被害者になった場合のリスクと対応について解説します。
状況: Fさんは、青信号の横断歩道を歩行中に、電動キックボードに乗ったGさんに衝突されました。Gさんは、横断歩道の手前で一時停止をせずに、スピードを落とさずに横断歩道に進入したため、Fさんに気づくのが遅れてしまいました。Fさんは転倒し、足を骨折する重傷を負いました。
問題点: Gさんは、横断歩道における歩行者優先の原則を無視しました。横断歩道は、歩行者の安全を最優先に確保する場所であり、車両(電動キックボードを含む)は、横断歩道の手前で一時停止し、歩行者の有無を確認する義務があります。
対応: Fさんは、Gさんに対して治療費、慰謝料、休業損害などの損害賠償を請求することができます。まずは警察に届け出て、事故証明を取得することが重要です。その後、弁護士に相談し、損害賠償請求の手続きを進めることをお勧めします。
状況: Hさんは、自転車専用道を自転車で走行中、後ろから来た電動キックボードIさんに追突されました。Iさんは、Hさんの自転車に気づくのが遅れ、ブレーキをかけたものの間に合いませんでした。Hさんは転倒し、軽傷を負いましたが、自転車が破損しました。
問題点: Iさんは、前方を十分に確認せずに電動キックボードを運転していました。自転車専用道は、自転車専用の通行帯であり、電動キックボード(一定条件を満たすもの)も通行可能ですが、周囲の状況に注意し、安全な速度で走行する必要があります。
対応: Hさんは、Iさんに対して自転車の修理費用や治療費などの損害賠償を請求することができます。この場合も、まずは警察に届け出て、事故証明を取得することが重要です。
状況: Jさんは、駐車場内を歩行中に、電動キックボードに乗ったKさんに接触されました。Kさんは、駐車場内を徐行せずに走行しており、Jさんに気づかずに接触してしまいました。Jさんは転倒し、軽い打撲を負いました。
問題点: Kさんは、駐車場内での安全確認を怠りました。駐車場内は、車両や歩行者が入り混じる場所であり、特に注意して運転する必要があります。
対応: Jさんは、Kさんに対して治療費や慰謝料などの損害賠償を請求することができます。この場合も、まずは警察に届け出て、事故証明を取得することが重要です。駐車場内での事故は、当事者同士の話し合いで解決しようとするケースが多いですが、後々トラブルになる可能性もあるため、警察に届け出ることをお勧めします。
電動キックボードの事故を防ぐためには、運転者と歩行者の双方が交通ルールを守り、安全対策を徹底することが重要です。
交通ルールの遵守:道路交通法や各自治体の条例を遵守し、信号を守り、一時停止を徹底する。特に、歩道走行時は歩行者優先を心がける。
安全運転:スピードを出しすぎず、周囲の状況に注意しながら運転する。特に、見通しの悪い場所や交差点では、十分に減速する。
ヘルメットの着用:法的にヘルメットの着用は努力義務ですが、安全のため必ず着用する。
飲酒運転の禁止:飲酒運転は絶対にしない。
点検整備:運転前にブレーキやライトなどの点検を行い、不具合があれば修理する。
保険への加入:自賠責保険だけでなく、任意保険にも加入することを検討する。
安全講習の受講:電動キックボードのシェアリングサービスによっては、安全講習の受講が義務付けられている場合がある。
周囲への注意:歩道を歩く際は、電動キックボードが接近してくる可能性を常に意識し、周囲に注意を払う。
横断歩道の安全確認:横断歩道を渡る際は、信号を守るだけでなく、電動キックボードが接近していないかを確認する。
イヤホンの使用を控える:イヤホンで音楽を聴きながら歩くと、周囲の音が聞こえにくくなり、電動キックボードの接近に気づきにくくなるため、控える。
反射材の着用:夜間は、反射材を身につけることで、電動キックボードの運転者から視認されやすくなる。
万が一、電動キックボードの事故に遭ってしまった場合は、冷静に対応することが重要です。
1.負傷者の救護:まずは負傷者の救護を最優先に行う。
2.警察への連絡:事故の状況を警察に報告し、事故証明を取得する。
3.加害者の情報収集:加害者の氏名、住所、連絡先、車両番号、保険加入状況などを確認する。
4.目撃者の確保:目撃者がいる場合は、証言を得る。
5.病院での診察:事故による怪我がないか、病院で診察を受ける。
6.弁護士への相談:損害賠償請求の手続きについて、弁護士に相談する。
1.負傷者の救護:まずは負傷者の救護を最優先に行う。
2.警察への連絡:事故の状況を警察に報告する。
3.被害者の情報収集:被害者の氏名、住所、連絡先、怪我の状況などを確認する。
4.保険会社への連絡:加入している保険会社に事故の状況を報告する。
5.誠意ある対応:被害者に対して誠意ある対応を心がける。
賠償金など
事故の状況や怪我の程度によって、賠償金の金額は大きく異なります。一般的には、治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益などが賠償金の対象となります。弁護士に相談することで、適切な賠償金を請求することができます。
電動キックボードは、手軽で便利な移動手段である一方で、事故のリスクも伴います。事故を起こさないためには、交通ルールを守り、安全運転を心がけることが最も重要です。また、万が一事故に遭ってしまった場合に備えて、保険に加入しておくことをお勧めします。
電動キックボードを利用する際は、この記事で解説した内容を参考に、安全に注意して利用するようにしましょう。そして、電動キックボードだけでなく、すべての交通参加者が安全な社会を築けるよう、一人ひとりが交通安全意識を高めていくことが大切です。
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