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2025.06.11
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【 目次 】
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風邪やインフルエンザの症状として現れる「咳」。「咳が止まらないけれど、無理に止めてしまっても大丈夫なのだろうか」と悩んだことはありませんか?実は、咳は体にとって重要な防御反応の一つです。そのため、「咳が出るから」という理由だけで、必ずしも咳止めを使う必要はありません。また、咳止めにもさまざまなタイプがあるため、咳が出ている場合は症状に合わせた適切なものを選ぶことが大切です。
この記事では、咳が起こる仕組みや咳止めの種類、薬以外でできる対策、そして病院を受診すべき咳の特徴について詳しくご紹介します。

『咳は止めないほうがいい』という情報を見たり、医師に言われたりしたことはありませんか?『止めた方がいいのか』『止めない方がいいのか』は、咳のタイプや状況によって異なります。咳が発生する仕組みや、咳の症状による違いを解説します。
咳は、異物(煙やウイルス、細菌など)を吸い込んだり、気道に異物(食べ物など)が入ったりした際に出るようになっており、「無意識に生じる」咳と「意識的に行う」咳の2種類に大きく分けられます。
無意識に生じる咳は、異物が咽頭や気管、気管支などの気道粘膜にあるセンサーに感知されて生じます。反射的に咳が生じるため、咳反射と言われます。咳中枢に情報が伝わることで横隔膜や肋間膜などの呼吸に関連する筋肉を反射的に動かし、咳を生じさせています。
無意識に生じる咳には「夜中に咳が止まらない」「我慢しようと思っても咳が出てしまう」といった、自分ではコントロールできない咳が該当します。生活に悪影響をおよぼす場合があるので、注意が必要です。
急に咳が止まらないと心配になるホ…
意識的に行う咳に関しては、細菌感染や炎症により生じた痰を体外に排出するための咳払いなどが該当します。喉の違和感を払拭する目的で行われるため、原因が改善すれば咳をする必要がなくなります。
いずれにせよ、咳は体内に入って来た異物を体外に排出する重要な役割を担っています。
咳は、上記の無意識 or 意識的に起こす咳の他、「ゴホゴホ」した咳と「コンコン」と乾いた咳と、咳の仕方によって2種類に分けられます。
この場合は、痰が絡んでいる場合が多く「ゴホゴホ」咳と例えられます。喉や気道に溜まった痰を排出しようとして咳が生じており、多くの場合、ウイルスや細菌感染が原因として考えられます。咳の状態が悪い、咳が長く続いている場合には、肺炎や肺水腫、心不全、気管支喘息、気管支炎などの可能性もあるので注意しましょう。
痰が絡まない乾いた咳は、気道や肺の炎症により生じます。粘膜の分泌物が少ないと、異物除去ができず刺激となり、乾いた咳が出てしまいます。咳喘息やアトピー咳嗽、百日咳、間質性肺炎や降圧剤(ACE阻害薬)の副作用などが原因となることがあります。
咳の違いで病気が判明する!?
咳の継続期間によって、咳は急性(3週間以内)、遷延性[ せんえんせい ](3〜8週間)、慢性(8週間以上)の3つに分類され、持続期間によっておおよその原因が推測されます。
咳の種類を見極めることで、適切な治療法や対策を選ぶことができます。持続期間も重要な指標になるので、受診される際には「いつから咳が始まった」かを思い出して伝えるようにしてください。

咳は防御機能なので『やっぱり咳は止めちゃダメなのでは?』と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、咳止めを使うタイミングを理解すれば問題ありません。快適な生活を送るために薬の種類、使用時の注意点をご紹介します。
医薬品の咳止めには、咳のメカニズムから『咳中枢を抑制する薬(中枢性)』と『刺激の始まりを抑える薬(末梢性)』『咳の伝達を遮断する薬(伝達阻害)』の3種類があります。
基本的な使い分けは以下の通りです。
乾いた咳→『中枢性』
湿った咳→『末梢性』
なかなか改善しない咳→『伝達阻害』
それぞれの詳細について紹介します。
延髄にある咳中枢を抑制して咳を和らげる薬です。乾いた咳や夜間の咳がひどい場合に効果的です。中枢性咳鎮咳薬はさらに『麻薬性』『非麻薬性』に分けられます。代表的な成分として麻薬性鎮咳薬は『コデイン』『ジヒドロコデイン』。非麻薬性鎮咳薬は『チペピジン』『デキストロメトルファン』が挙げられます。
特に、麻薬性鎮咳薬である『コデイン』『ジヒドロコデイン』に関しては、優れた咳止めの作用を持ちますが、副作用や依存に注意が必要となります。麻薬の1種であるモルヒネと似た構造を持つため、依存性があります。自己判断による長期使用や大量摂取はしないでください。
用法・用量をしっかり守るんだホ!
また、麻薬性・非麻薬性のいずれにおいても、咳止めの作用以外に鎮痛・鎮静作用や腸の動きを抑える作用があります。副作用として眠気や便秘に繋がる可能性があるので注意しましょう。
加えて、麻薬性鎮咳薬を使ってはいけない人も存在します。それは『気管支喘息の発作中の方』『12歳未満の小児』です。その他にも使用禁止(禁忌)となる状態があるので、詳しくは医師または薬剤師の説明をよく聞いてください。
咳そのものにアプローチするのではなく、気道に存在する異物に対して作用したり、気道に作用することで、咳反射に対するセンサーへの刺激を緩和します。代表例として、去痰薬や気管支拡張薬、漢方薬、トローチなどがあげられます。
それぞれ主な有効成分は以下の通りです。
・去痰薬:ブロムヘキシン、カルボシステイン、グアイフェネシンなど
・気管支拡張薬:dl-メチルエフェドリン、テオフィリン、アミノフィリンなど
・漢方薬:小青竜湯、麦門冬湯など
気道粘膜の炎症により生じる咳反射を抑制する医薬品が2022年に登場しています。『ゲーファピキサント』という成分で難治性の慢性咳嗽 [ がいそう ] に使用されます。特徴的な副作用として『味が変わった、わからなくなった』という味覚の変化が挙げられます。多くは服用中止で回復したことが分かっています。
その他には、悪心や口の渇きが主な副作用として挙げられています。中枢性や末梢性鎮咳薬を使用しても良くならない咳に対して使用されることが多い薬です。
咳が体の防御機能であることを説明してきたので『咳止めは飲まない方がいいんじゃないの?』と感じる方もいらっしゃるかと思います。実際に咳は止めない方がいいと言われていますが、どのような点に注意して使用すればいいか確認してみましょう。
前述した内容ですが、タイプにあった咳止めを使用しないと意味がありません。ご自身の咳が「コンコン」とした乾性咳嗽なのか、「ゴホゴホ」とした湿性咳嗽なのかを確認しましょう。
乾いた咳だからといって、むやみに咳止めを使用する必要はありません。咳のし過ぎで喉を傷めたり、睡眠不足になってしまったり、体力消耗に繋がってしまう場合には中枢性鎮咳薬を使用するようにしましょう。
咳のし過ぎで疲れることもあるホ…
市販薬を「2週間」使用しても改善しない場合は受診するようにしましょう。「なんか良くなっている気がする」「違う市販薬なら効くかも」とダラダラと続けないようにしてください。個人的な意見ですが、市販薬を飲み始めて1週間で何も改善しないのであれば受診することをオススメします。
麻薬性鎮咳薬『コデイン』系の薬は「12歳未満のお子さん」や「気管支喘息の発作中」は使用が禁止となっています。コデインやジヒドロコデインは市販薬にも含まれる成分です。特に、大人が使用するために以前購入して保管していた市販薬を使用する場合は要注意となります。
近年話題のオーバードーズの一因になる可能性がある「濫用の恐れのある成分」として厚生労働省の資料に明記されています。
オーバードーズの危険性は以下の記事もチェックだホ!

咳を和らげるためには薬だけでなく、日常生活の中で取り入れられる簡単な対策も効果的です。これらの方法を知っておくことで、咳の頻度や程度を軽減する助けになります。
咳を和らげるためには、薬以外の対策も効果的です。
例えば、以下のような方法があります。特に、最後のはちみつは1歳以上であれば1度は試してほしいオススメの対策です。
空気の乾燥により、気道が刺激されたり、異物除去の働きが低下したりしてしまいます。部屋の湿度は40~60%で維持しましょう。理想は加湿器の使用ですが、濡れタオルやコップなどを置いておくことで乾燥を防ぎましょう。
濡れたタオルでもOK!
喉が乾燥すると咳が出やすくなります。加湿に加えて、直接、うるおいを与えるためにも水分補給と飴をなめることを意識的に行うようにしましょう。
おおよそ2Lを10回ほどに分けて摂取しましょう。多く摂ればいいわけではありません。頻尿の原因となってしまう可能性もあるので注意してください。
タバコの煙や香辛料などの刺激物は避けるようにしましょう。また、熱々のスープにも注意が必要です。水分を奪い、粘膜を傷つけ咳を悪化させてしまう可能性があります。
1歳未満のお子さんにはNGですが、はちみつが1番のオススメです。スプーン1杯程度のはちみつをお湯に溶かして飲むようにしましょう。はちみつには咳止めや抗菌、粘膜保護などの作用があります。エアコンの使用による乾燥もあるので、寝る前に飲むのもオススメです。
咳止め以外の効果も!

咳が続く場合、その背後には深刻な病気が隠れていることがあります。受診の目安を知ることで、早めの適切な治療を受けることができます。
次のような症状がある場合は、迷わず医師に相談しましょう。
市販薬で誤魔化しながら生活するのではなく、2週間といった期限や受診すべき症状の目安を明確にしておいてください。
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