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2024.12.25
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【 目次 】
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「乾燥」と言われるとどのような悪影響を想像されるでしょうか。イメージしやすい症状として「肌の痒み」「のどの痛み」があります。まさにその通りで肌や鼻、喉・口などの粘膜にも影響を与えるため、乾燥対策は必要となります。
乾燥そのものが不快感を与えることがありますが、乾燥から様々な症状に繋がる可能性もあります。乾燥対策が必要な主な理由2つの理由を紹介します。
鼻が乾燥すると、鼻がむずむずしたり、ヒリヒリしたりします。喉が乾燥するとイガイガし、コホコホとした咳が出ることがあります。乾燥することによって鼻や喉のバリア機能が低下し、細菌やウイルスを正しく捕捉し排出できない状態となってしまいます。
加えて、乾燥している場所はウイルスが活発になったり、長時間空気中に浮遊したりする環境となってしまいます。バリア機能の低下と環境の悪化というダブルパンチの状況になってしまいます。
乾燥して痒くなった経験がある方もいらっしゃるかと思います。肌の皮脂や水分が不足すると、カサカサしたり、つっぱったりすることがあります。乾燥肌を放置すると、かゆみの知覚神経が過敏になり、少しの刺激でも痒みや湿疹などの皮膚トラブルが発生する可能性があります。
また、かかとのひび割れや指先のぱっくり割れなども乾燥によって引き起こされます。肌だけでなく、鼻や喉も乾燥することで炎症を起こします。
以上のような理由から、乾燥はちょっとした不快感だけではありません。、日頃のケアや環境の改善が重要となります。
乾燥の原因は多岐に渡ります。肌や鼻、喉・口で共通する原因もありますが、それぞれの原因について紹介します。
全ての乾燥に関係する内容として「冷暖房の長時間使用による空気の乾燥」があります。エアコンは空気中の水分も一緒に吸収してしまうため、使用により室内が乾燥してしまいます。
・紫外線:直接的な刺激により、角質層へダメージを与えます。
・栄養不足:特にビタミンの不足は肌のターンオーバーに影響します。
・加齢:全身に占める水分の割合も低下し、肌の水分量も低下してするとともに、皮脂や天然保湿因子も低下します。
・炊事、洗濯:洗剤やお湯により皮脂が流されてしまいます。
・口呼吸:寝ている間の口呼吸が代表例です。また、マスク着用により苦しくなり、口呼吸となっているケースもあります。その他にも花粉症などで鼻づまりになりやすい方は注意が必要です。
・加齢:加齢により水分量が低下するため、唾液の分泌量が低下します。
・薬の副作用:あくまで一例ですが、抗がん剤や抗うつ剤、利尿薬、抗ヒスタミン薬などの一部で口腔内を乾燥させる可能性があります。
・口呼吸:口腔内の乾燥がある場合、繋がっている鼻の中も乾燥している可能性があります。
・過度な鼻腔ケア:鼻毛の過度な手入れによって、鼻粘膜に炎症を起こし、乾燥に繋がることがあります。
・鼻炎(アレルギー性、急性、慢性など):炎症が長引くことによって乾燥状態となります。
冒頭でも記載しましたが、乾燥の原因は多岐に渡ります。何が原因なのかわかりにくいのが現実問題です。特定できるのが一番ですが、わからない時はひとつひとつ対策をしましょう。
良かれと思ってやっている乾燥対策が逆効果の場合もあります。よくある間違った方法について紹介しますので、実際に行っていないか確認してみてください。
毎日行っている洗顔ですが、NG行動が隠されています。注意してほしいキーワードは「強くゴシゴシ洗う」「熱いお湯(42℃程度)」です。
また、パックが乾燥するまでずっと着けている方もいますが、パックが乾燥するのと一緒に皮膚の水分も飛んでしまうので、メーカーの推奨時間を守って使用しましょう。
洗顔と同様に「ゴシゴシ強く洗う」「熱いお湯(42℃程度)」は肌にダメージを与えることになるので注意しましょう。また、長時間の入浴も悪影響となってしまいます。ふやけるほど入っている場合は注意しましょう。
加湿のしすぎも問題になります。湿度60%以上になると、カビやダニが発生しやすい状態となってしまいます。また、加湿器内に細菌が繁殖すると知らぬ間に体の中で症状が出てしまうことがあります。代表例として、レジオネラ症という肺炎があるので、毎日、加湿器を使っていても定期的にお手入れをしてください。
以上が代表的な乾燥対策のNG・注意点となります。より詳細について知りたい方は別途調べてみてください。
乾燥を防ぐためには「市販薬」ではなく、日常生活の習慣を改善することが重要です。薬局での窓口でも紹介している簡単に取り入れられる対策をご紹介します。
室内の湿度を適切に保つことが基本です。ベストなのは加湿器を使用することです。湿度は「40~60%」を保つよう心がけましょう。加熱式以外の加湿器は定期的に手入れするようにして、カビや細菌が繁殖しないように注意して使用してください。
加湿器を持っていない場合は水を入れたコップを置いたり、濡れたタオルを部屋に干したりするなど、手軽にできる方法もおすすめです。また、マスクの着用は鼻と口・喉の乾燥対策となるので感染症予防と併せて取り入れてみてください。
水分補給をこまめに行うことが乾燥予防に効果的です。特に冬場は喉や肌が乾燥しやすいため、1日に1.5〜2リットルの水を目安に摂取しましょう。温かい飲み物を選ぶと、体温も上がり代謝が促進されるため一石二鳥です。
利尿作用のあるカフェインやアルコールは控えめにしましょう。水分補給のつもりが水分不足になってしまう可能性があります。
さまざまなダイエットが流行したり、食の欧米化で偏食をしたりすることで栄養が偏るケースは少なくありません。外側のケアだけでなく、内側のケアも重要となります。
ビタミンAやB群、C、E、βカロテンなどなどとバランスの良い食生活が必要となります。加えて、脂質やタンパク質も摂ることも乾燥対策には重要となります。食事で難しい場合にはサプリメント等に頼ることもありますが、食事の見直しから行いましょう。
紫外線は肌の乾燥を促進します。長袖長ズボンの着用が一番いいですが、夏場は難しいと思いますので、可能であれば季節・天候を問わずに、日焼け止めを使用しましょう。(日常生活であれば、SPF10~20程度、PA+~++が目安)
これらのちょっとした工夫をすることで、乾燥の改善や予防につながります。特に乾燥しやすい冬場は意識的にケアを行いましょう。
肌の乾燥対策について、「市販薬」の面から紹介します。市販薬の選択肢は、肌の状態によって異なります。「乾燥予防」「乾燥による痒み」「皮膚の炎症」と使われる市販薬が異なってきます。
基本的には保湿効果や肌のバリア機能を高める成分を含むものを使用するのが効果的ですが、傷やひび割れには使用しない方がいい薬剤もあるので注意してください。
保湿剤で有名な「ヒルドイド(ヘパリン類似物質)」にも市販薬が登場しています。その他にも尿素クリームやワセリンが保湿剤としてよく使用されています。少し特徴が違うので、簡単にポイントを紹介します。
「ヘパリン類似物質」は保湿+血行促進、抗炎症作用、抗凝固作用を持ちます。そのため、出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病など)の患者さんは使用できませんので注意が必要です。
「尿素」は踵のカサつきなどに使用され、角質を溶かす作用で用いられるため、長期に使うと刺激を感じる可能性があります。
「ワセリン」は肌を保護することで、水分を保持させることで保湿性を発揮します。
代表的なものとしてステロイドであるフルオシノロンアセトニドやプレドニゾロン、ベタメタゾンなどがあります。
ステロイドはアラキドン酸の働きを抑えることで抗炎症作用を発揮し、痛みや炎症、赤みなどを改善します。
ステロイド剤はダラダラと使い続けるものではないので、1週間程度を目安としてください。
痒み止め成分として抗ヒスタミン成分のジフェンヒドラミンやクロルフェニラミンや局所麻酔であるリドカインなどが含まれる外用薬を選ぶと、かゆみを抑えられます。痒みの元であるヒスタミンの働きを抑えることによって痒みを抑えるものです。そのため、痒み止めを使っても効果が切れたら、また痒みが出てくるので、痒みの原因が乾燥かそれ以外なのかを判断し、対応する必要があります。
状況に応じて上記の有効成分が含まれる市販薬を活用してみましょう。いずれの市販薬においても、1~2週間程度を目安に「症状が改善しない」「良くなっていない」場合には受診するようにしてください。
鼻と口・喉の乾燥対策としてドラッグストアなどで購入可能なものを紹介します。
鼻の乾燥(ドライノーズ)の治療薬はありませんが、乾燥対策として鼻を洗浄・加湿する日本臓器製薬発売の「ドライノーズスプレー」が代表例として挙げられます。
その他にも、鼻の入り口にプロペトや白色ワセリンなどの保湿剤を塗る方法もあります。鼻の洗浄・加湿を目的とするスプレーと保湿を目的とするクリームや軟膏、ジェルを併用することも1つの手となります。
喉や口の乾燥によって炎症反応が起こっている可能性もあります。保湿だけではなく、抗菌や抗炎症、粘膜修復を目的とした成分が使用されることもあります。
喉や口の乾燥による症状で使用される市販薬にはトローチやのど飴、スプレー、ジェル、うがい薬など様々な種類があります。目的や症状、使用感で適切なものを選択しましょう。目的ごとに使用される主な成分について紹介します。
想像しやすい例としてスプレー(のどぬーるスプレー)やうがい薬(イソジンうがい薬)があります。どちらも成分は「ポビドンヨード(ヨウ素)」であり、細菌・ウイルスの死滅が目的となっています。その他、抗菌・消毒目的の有効成分として「セチルピリジニウム塩化物」「クロルヘキシジン塩酸塩」などがあります。
乾燥による喉のイガイガに使用される代表例として漢方薬「麦門冬湯」が代表例として挙げられます。その他の痛み緩和や抗炎症目的として使用される有効成分には「アズレンスルホン酸ナトリウム水和物」「トラネキサム酸」「甘草」などがあります。
痛みを伴う場合は、痛み止めの成分として有名な「ロキソプロフェン」「イブプロフェン」「アセトアミノフェン」が含まれるものを選択しましょう。代表的な商品である「のどぬ~る鎮痛カプセルa」に「イブプロフェン」が含まれています。
有効成分とは別に記載されているグリセリンやマクロゴール、ハチミツといった添加物が保湿に関与してきます。保湿目的がメインの市販薬はありませんが、乾燥による鼻や喉の症状がある場合は有効成分、添加物を確認してみてください。
今回は乾燥対策について肌や鼻、口・喉と多くの観点で紹介しました。日常生活の改善点と薬局で準備できるアイテムを取り入れても改善しない場合は受診されることをオススメします。
受診をオススメするサイン
・乾燥対策を1週間以上行っても改善しない。
・皮膚のかゆみが強く、無意識に搔いている。
・乾燥以外に皮膚の赤み・湿疹や鼻づまり、喉の腫れ、口内の炎症などの症状がある。
身近な方法から取り入れてみてください。
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