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Lawyers Column

2024.12.09

シャドーITとは?リスクと原因・効果的な対策と予防策を解説

知らぬ間に感染!?

デジタル時代の急速な進化に伴い、情報技術(IT)の革新は私たちの生活やビジネスのあり方を大きく変えています。クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)などの技術は、効率化や利便性をもたらす一方で、新たな課題やリスクも生じています。その中でも特に注目すべきは、「シャドーIT(Shadow IT)」の問題です。

本コラムでは、以下のとおり、そもそもシャドーITとは何なのか、シャドーITがもたらすリスクとそれに対する適切な対応策について考察します。

1.シャドーITと、それがビジネスに与える影響
2.シャドーITによるリスクの具体例とその発生原因
3.効果的なリスク対策と予防策

シャドーIT(Shadow IT)とは

シャドーIT(Shadow IT)とは、一般に、企業の正式なIT部門の管理外で使用される情報技術(IT)システム、ソフトウェア、アプリケーションやデバイスのことを指します。
例えば、従業員が便利さのために許可されていない個人的なクラウドストレージサービスを利用したり、業務に役立つと考えて独自にアプリケーションをインストールしたりするケースや仕事目的でのUSBメモリやポータブルハードディスクなどの個人用デバイスを使用するケースがこれに該当します。

シャドーIT は従業員のイノベーションと生産性を促進する可能性を秘めていますが、特にそのようなシステムが企業統治(コーポレートガバナンス)の範囲外となる場合、深刻なセキュリティリスクとコンプライアンスの懸念が生じます。

例えば、ある大企業で従業員が無許可でクラウドストレージサービスを利用した結果、顧客情報が流出した事例があります。

このケースでは、従業員が業務の効率を上げるために個人的に導入したアプリケーションが企業のセキュリティポリシーに違反しており、その結果、重大な問題が生じました。

シャドーITの問題を解決するには、まずその存在を把握し、適切な管理とガイドラインの策定が必要です。これには、IT部門だけでなく全従業員がセキュリティに対する意識を高め、リスクを共有することが求められます。

また、ITの便利さを提供しつつ、セキュリティを維持するための技術的な対策も同時に進める必要があります。
このようにしてシャドーITを適切に管理することで、企業は情報漏えいやその他のセキュリティリスクから保護されるとともに、ITリソースの効率的な利用が可能となります。

セキュリティ意識が必要だホ…!

シャドーITが生まれる背景

シャドーITは、従業員が自発的に未承認のソフトウェアやアプリケーションを使用することで生じます。この行動は、企業が提供する技術が従業員の要求に応えられない時や、作業を効率化したいと考えた時に起こります。

従業員のニーズや意識

従業員がシャドーITを利用する主な理由は、業務効率を高めるためです。公式のITソリューションが提供する機能が限られている場合、従業員はタスクをより迅速かつ容易に完了させるため、個人的に知っているツールやアプリケーションに頼ることがあります。

例えば、ファイル共有やデータ分析をより簡単にするために、非公式のクラウドサービスを使用することが挙げられます。

勤務場所の多様化

リモートワークの増加も、シャドーITの拡大に一役買っています。家やカフェなど、オフィス外で働く機会が増えると、従業員は企業のネットワークやシステムへのアクセスが限られるため、自身のデバイスや個人的なアプリを業務に利用することがあります。

これにより、仕事の柔軟性が向上する一方で、セキュリティリスクも高まります。

ある統計によると、リモートワークの増加はシャドーITの利用を41%増加させ、組織に新たなセキュリティ課題をもたらしていると報告されています。この統計は、勤務場所の多様化がシャドーITのリスクをどれだけ高めているかを示しています。

これらの背景には、企業が従業員のテクノロジーに対する需要を満たせていない現実があります。効率的な仕事の進行を妨げるITの制約があると、従業員は自ら解決策を見つけ、その結果としてシャドーITが発生します。

例として、ある大企業で従業員が無断で導入したファイル共有サービスが原因で、重要なプロジェクトファイルが外部に漏れた事例が報告されています。

このような事例は、シャドーITが業務の効率化を図る一方で、企業に重大なリスクをもたらすことを示しています。
従業員が自らのニーズに合ったツールを求めることは自然なことですが、その結果として生じるシャドーITの問題を理解し、適切な対策を講じることが企業には求められます。これには、公式のITリソースを改善し、従業員のニーズに応えることが必要です。

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シャドーITに関連するリスク

シャドーITは、企業の正式な承認を得ずに従業員が個人的に使用する非公式のITリソースを指し、これに伴ういくつかの重大なリスクが存在します。以下、シャドーITに関連する主なリスクについて解説します。

情報漏えい

シャドーITの最も重大なリスクの一つは情報漏洩です。個人情報保護法において、個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じることは、企業の重要な責務になります。従業員が個人的に利用しているクラウドストレージサービスや未承認のアプリケーションに顧客情報を保存した場合、そのサービスが十分なセキュリティ対策を施していなければ、外部の攻撃者によるデータの盗難につながる可能性があります。

実際、多くの情報漏洩事故がこのような形で発生しており、企業にとって深刻な問題となります。この場合、企業は個人情報の漏洩に対する損害賠償などの法的な責任を問われ、信用を失うリスクがあります。

不正アクセス

非公認のソフトウェアやアプリケーションは、しばしばセキュリティ更新が疎かにされがちです。これが原因で、悪意のある第三者による不正アクセスが容易になり、組織全体のネットワークセキュリティが脅かされることになります。

たとえば、古いバージョンのオフィスツールを勝手に使用していると、そこに未修正のセキュリティホールがあれば、それを突かれる可能性があります。

マルウェア感染

シャドーITを通じて導入されるソフトウェアは、正式な検証プロセスを経ていないため、マルウェア(コンピューターウィルスなどユーザーのデバイスに不利益をもたらす悪意のあるプログラムやソフトウェアの総称)に感染しているリスクが非常に高くなります。

従業員がダウンロードした見知らぬアプリケーションが原因で、企業のシステム全体がマルウェアに感染する事例が報告されています。

アカウントの乗っ取り

個人的に利用されるメールアプリやソーシャルメディアプラットフォームなどからも、企業の機密情報が漏洩することがあります。
これらのプラットフォームが攻撃に遭うと、従業員のアカウントが乗っ取られ、重要な情報が不正に利用されるおそれ恐れがあります。

端末の紛失・盗難

シャドーITには、私物のスマートフォンやタブレットなど、企業が管理していないデバイスの使用も含まれます。これらのデバイスが紛失または盗難に遭った場合、未承認のアプリやデータが第三者の手に渡る可能性があります。

シャドーITの対策

シャドーITの問題を解決するためには、その実態を把握し、適切な対策を実施することが必要です。ここでは、シャドーITに対処するための具体的な方法を紹介します。

実態を把握する

まず最初に行うべきことは、組織内のシャドーITの実態を明らかにすることです。これには、従業員がどのような非公式のソフトウェアやデバイスを使用しているかを調査することが含まれます。
調査を通じて、リスクが高い行動やツールを特定し、それに対応する策を立てることが可能になります。

業務で使用するITシステムの利便性の向上

シャドーITが発生する主な理由の一つは、公式のITシステムが従業員の要求に応えられていないことです。したがって、公式のIT環境を改善し、従業員が業務を効率的に行えるようにすることが、シャドーITを減らす効果的な方法です。

例えば、より使いやすいコラボレーションツールの導入や、アクセスが速いシステムの提供が挙げられます。

アクセス監視を行う

組織内のネットワークやシステムへのアクセスを厳格に監視することも、シャドーITに対抗する重要な手段です。不審なアクセスや異常なデータの流れを検出することで、未承認のアプリケーションやデバイスの使用を早期に発見し、対処することができます。

ガイドラインを策定し共有する

明確なITポリシーとガイドラインを策定し、それを従業員全員に周知することもまた、シャドーITのリスクを管理する上で非常に有効です。
ガイドラインには、承認されたデバイスやソフトウェアのリスト、安全な通信が行えるセキュリティプロトコル、違反時の対応策などが含まれるべきです。

社内教育を徹底する

従業員に対する定期的なセキュリティ教育とトレーニングを実施することで、シャドーITのリスクを意識させ、適切な行動を促すことができます。
教育プログラムでは、シャドーITの危険性とその影響、正しい技術の使用方法を徹底して教えることが重要です。

これらの対策を組み合わせることで、シャドーITによるリスクを大幅に減少させることが可能です。組織全体でこれらの対策を理解し、実行することが、安全で効率的なIT環境を維持するために不可欠です。

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シャドーIT対策は現代の必須マナー

シャドーITは、未承認のITリソースを従業員が使用することで、これにより企業には潜在的な大きなリスクがもたらされます。以下の通り、適切な理解と対策を講じることが企業にとって極めて重要です。

1.シャドーITの理解の促進
2.従業員のニーズに応じたIT支援の強化
3.定期的なセキュリティ教育とポリシーの周知
4.不正アクセスや情報漏洩を未然に防止
5.組織全体のセキュリティ意識の向上

シャドーITのリスクを最小限に抑えるためには、これらの対策を組織的に実施することが効果的です。各企業が情報セキュリティを強化し、安全なIT環境を確保することが求められます。法的観点からも、これらの対策を通じて企業のリスクを管理し、コンプライアンスを遵守することが重要になります。

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AZMORE国際法律事務所

松尾 裕介

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