1
2024.12.06
Contents
Lawyers Column
2024.12.04
誰にでも起こりうるホ
【 目次 】
Index
もし、あなたが交通事故で当て逃げされたとしたらどうしますか?
『慰謝料をもらえる?』『むち打ちの治療費はどうなる?』
万が一の時のために知っておくと安心な、”当て逃げ”された場合の対処法をご紹介していきます。
当て逃げには以下のような例があります。
・自分が知らない間に、誰かから車をぶつけられていた・傷つけられていた場合(ぶつけた相手はその場に不在)
・自転車や歩行者がぶつかり、ドアミラーなどを壊してそのまま立ち去る場合
どのような場合でも、当て逃げに気が付いたらまずは以下の対応をおこないましょう。
1 警察に通報して被害届を提出する
2 病院を受診して診断書を取得する
3 自身の保険会社に連絡する
被害が軽い場合でも、まずは警察に被害届を出すのがおすすめです。被害届を出すことで、警察は事故の状況の調査や加害者特定のための捜査をおこないます。
最近では多くの車に設置されている「ドライブレコーダー」の映像などは、有力な証拠になることも多いので、ドライブレコーダーを設置している場合は、映像の提供や確認などをおこないましょう。
また、被害届を出すことのメリットとして、『事故証明書』を発行してもらうことができるという点が挙げられます。事故証明書は、加害者への損害賠償請求や、あなた自身が加入している保険会社に保険金を請求する際に必要となる書類なので、今後のためにも受け取っておくと安心できるでしょう。
警察に被害届を出したとしてもカギとなるのは、言うまでもなく証拠です。あとは現場付近で
目撃者がいてくれると顔の人相や服装など加害者の有力な証言をしてくれる可能性もあります。
毎日同じ時刻に現場を通る加害者が浮かび上がるかもしれません。
なかでも、加害者の車のナンバーは、有力な手掛かりとなります。被害者が当て逃げの車のナンバーがわからなくても、付近の車にドライブレコーダーが付いていて、それに加害者のナンバーが写っていれば、警察が録画データの提供の協力を依頼してくれて、加害者を特定できますから、やはり、警察の届け出はマストです。
車のナンバーがわかっていないと特定が難しいこと、本格的な捜査があまり行われないことなどから、当て逃げをした加害者が見つかる可能性は低いと言えます。事故発生から1ヵ月以上経過して何も手がかりがなければ、当て逃げの加害者が見つかることはほぼないと言えます。
しかし、壊された車は自分で修理すのは悔しくてなりません。そんなときに役に立つのが車両保険です。
車両保険に加入していればたとえ当て逃げされ手加害者が見つからない場合でも、車の修理代が保険金として保証してくれるので助かります。
当て逃げは、物損事故を起こしたにもかかわらず、警察への報告義務を怠って現場から立ち去る行為です。
一方、ひき逃げは、人身事故で人を負傷させたにもかかわらず、負傷者の救護義務を怠って現場を立ち去る行為です。
罰則も、当て逃げは1年以下の懲役または10万円以下の罰金、ひき逃げは、10年以下の懲役または100万円以下の罰金ということで、当て逃げは物損事故で人身事故がひき逃げということになりますが、罪の重さが大きく異なります。
検挙率も人身事故のひき逃げは90%と高くなります。
『それなら器物破損罪ではないの?』と思う方もいらっしゃるかと思いますが、当て逃げは運転ミスという過失で物を壊していることになるので、器物損壊罪にはならないのです。過失なのか故意なのかによって変わります。
しかし、当て逃げする理由は陰に大きな犯罪を犯しているケースが多くあります。『飲酒運転がばれるから』『無免許運転だったから』など、加害者には逃げる理由があるのでしょう。
ひき逃げの検挙率は令和4年の調査では、全体で71.7%、死亡事故のみに絞れば98.9%と高い確率で逮捕されていますが、当て逃げは公表されていません。
当て逃げされた方が気になるのが、『警察に被害届を出して加害者を本当に見つけてくれるの?』『具体的に何をしてくれるの?』ということではないでしょうか。
警察がおこなう当て逃げ加害者の捜査の内容については公表されていませんが
1 現場付近の防犯カメラの確認
2 目撃情報の収集(聞き込みなど)
3 被害にあった車の傷や付着した塗料の確認
4 ドライブレコーダー映像の確認
5 情報提供を呼びかける看板の設置
というように、現場の状況から加害者車両の塗膜片、防犯カメラや周辺のドライブレコーダーからの映像、目撃者の証言聞き取り調査を進めていくと一般的には言われています。
むちうちとは、不意に後方や側面からの衝撃により、首の筋肉や神経を痛めてしまう負傷です。
衝撃を受けたときに首がムチのようにしなることから、むちうちと呼ばれています。
車の破損が少ない低速度な当て逃げの事故であったとしても、むちうちを発症するケースはあり得ます。
軽微な事故でも、少しでも体に異常を感じる場合には、すぐに病院で検査を受けるようにしましょう。
むちうちは事故から数時間経過した後に発症することもあります。事故の翌日以降に痛みが出始めても、不思議なことではありません。通常は6時間以内に65%の方が痛くなるようですが、24時間以内では27%の方が痛みを訴えているようですが遅い方もいます。
加害者からしたら、痛い痛いと嘘を言いながら慰謝料目当てに長引かせているのでは?
と勘違いされやすく、外傷がないため本人しかわからないのがむち打ち症なのです。
患者の頭部を後ろに曲げて圧迫し、痛みの有無を確認するなどの「神経学検査」を行い医師にむち打ちの症状を確認してもらい、証明してもらうのも良いです。
当て逃げに対する慰謝料は、原則として認められていません。それは、当て逃げは物損事故であり、精神的な苦痛を与えることは少ないと考えられているからです。
ただし、かわいがっていた愛犬が当て逃げで死亡したり、自宅が大破して、精神的に大きなダメージを受けて寝込んでしまうなどの場合は加害者が与えた精神的苦痛に対して慰謝料が求められるケースはあります。
また、当て逃げされたことによってケガをした場合には、人身事故として扱われるため、慰謝料などを請求できる可能性が出てきます。
当て逃げの被害者として加害者に請求できるのは、物損に関する損害賠償です。
慰謝料は原則として請求できません。
物損による損害賠償について具体的には以下のようなものになります
事故当時の車の価格を上限として、原則全額請求できる。修理費が事故当時の車の価格を超える場合や、物理的に修理が不可能な場合などは、買い替え費用を請求できる。
代車の必要性、借りる期間、代車の種類などによっては全額請求できないこともある。
車に事故歴・修理歴が残り価値が落ちてしまったことに対する補償。
修理費の10~30%が相場だが、必ずしも請求できるとは限らない。
営業車の損壊により営業できない期間が生じた場合に請求できる。
金額は、基本的に「(1日当たりの平均売上額-経費)×休業日数」で計算される。
当て逃げされた現場から車を移動させるのにかかるレッカー費用
積載物に関しては、積載物の価格を上限とした修理代・弁償代に加え、搬送が遅れることにより生じる経済的損失について請求できる可能性がある。
ペットの場合、治療費は購入価格を考慮しつつ、治療に必要とされる金額については購入価格を超えて請求できる可能性がある。
ペットが死亡した場合の請求額は、ペットの購入価格、事故当時の年齢、平均寿命などを考慮したものとなる。
当て逃げされた車両が大破した場合、廃車にかかる費用を請求できます
これらの請求には以下の期限があります
加害者が見つかった場合は、事故翌日から20年以内に損害賠償請求を行う必要があります。
加害者が見つかったら、その翌日から3年以内に請求しなければなりません。
当て逃げなどの交通事故でケガをした場合、加害者が見つからない場合を考えるとどうなるのかが気になりますね。
当て逃げの場合、加害者が見つかれば相手に医療費を請求できますが、見つからない場合の医療費は、
次のような方法で受け取ることができます。
1
健康保険組合の承認を得て、健康保険を一時的に立て替える第三者行為手続きを行うことができます。
まず、健康保険組合に電話連絡をして指示を受けてください
2
政府保障事業を利用する
相手が不明な場合や無保険の場合、被害者のみが請求できます
「請求キット」に沿って請求します
3
自動車保険に加入している場合は、人身傷害特約をつけていれば、自分の自動車保険で負担してもらうこともできます
当て逃げなどの場合は、加害者が不明なため、自賠責保険は適用されません。
また、加害者が無保険の場合は、加害者から治療費を請求しても支払ってもらえない可能性があります。健康保険を利用する場合は、医療機関で健康保険組合の承認を得る必要があります。
政府保障事業を利用する場合は、自賠責保険と同様の補償を受けることができますが、被害者に過失があれば過失割合が適用されます。
また、自動車保険に加入している場合は、人身傷害特約をつけていれば、自分の自動車保険で治療費を負担してもらえます。
以上のようなことを知っておくと、万一当て逃げにあってしまったときに、パニックにならないように、覚えておくとよいでしょう。あなたのお役に立てれば幸いです。
Category記事カテゴリー
Ranking人気の記事
About
ふくろう情報局とは?
⽇常⽣活や仕事で直⾯しがちなトラブルの解決⽅法や対策を、弁護⼠ねっとのマスコットキャラクターであるふくろうとともに楽しく学べるコンテンツ。法律に詳しくない⼈も理解できる記事づくりを⽬指しています。その他にも、掲載弁護⼠へのインタビュー記事なども随時更新!弁護⼠選びの参考にしてみてください。
どんどん更新していくよ!