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2025.06.11
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【 目次 】
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フリーランスとして働くことは自由で魅力的ですが、しばしば不確実性や複雑な法的な課題に直面します。この記事は、2024年11月に施行された「フリーランス新法」について、その影響を詳しく解説します。
■この記事で得られること
1.フリーランス新法の基本的な定義と対象範囲 — どのフリーランサーや事業者が新法の適用を受けるのか、その具体的な条件を説明します。
2.メリットとデメリット — 新法がフリーランスの労働環境にどのように影響を与えるか、具体的な利益と潜在的なデメリットを解析します。
3.対処法とトラブル回避のアドバイス — 新法を理解し、適切に対応するための実践的アドバイスを提供し、トラブルを未然に防ぐ方法を案内します。
フリーランス新法を理解し、より良いフリーランス生活を送るための一助として、是非この記事を最後までご覧ください。
フリーランス新法は、フリーランスや個人事業主として働く人々が公正な扱いを受け、適正な労働環境で活動できるようにするための法律です。特に契約や報酬の支払いに関して、フリーランスと事業者間の取引を明確にし、フリーランスの権利を保護することを目的としています。
ちなみに「フリーランス新法」は、正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」と呼ばれ、働く側(フリーランスや個人事業主など)を特定受託事業者、業務を依頼する側(企業や個人)を特定業務委託事業者と定めています。
下請法とフリーランス新法の最大の違いは、適用範囲です。下請法は主に製造業や建設業の下請け企業を対象としていますが、フリーランス新法はさまざまな業界の自営業者や個人事業主に適用されます。フリーランス新法の制定により、フリーランスも法的な保護を受けることが可能になり、不公正な取引から守られるようになりました。
フリーランスの権利保護を目的に制定されたフリーランス新法は、主にフリーランスと事業者間の取引に焦点を当て、フリーランスが不利益を被らないよう、発注者側にいくつかの義務を制定しています。透明で公正な契約を行うことを義務付けることにより、不当な低報酬や支払いの遅延防止が期待されています。
フリーランス新法の中で制定されている、特定業務委託事業者(発注事業者)が負う義務の内容は、以下のとおりです。
・書面等による取引条件の明示
・報酬支払期日の設定、期日内の支払
・継続的業務委託をした場合の禁止事項
・募集情報の的確表示
・育児介護等の業務の両立に対する配慮
・ハラスメント対策に係る体制整備
・中途解除等の事前予告
特定業務委託事業者(発注事業者)は、必ずしもすべての義務を負うわけではなく、特定業務委託事業者が満たす要件に応じて、特定受託事業者(フリーランス)に対する義務の内容が異なります。
明確なルールが定まったってことだホ!
フリーランス新法が導入されたことで、フリーランスとして働く多くの人々に、さまざまなメリットがもたらされましたが、一方でいくつかのデメリットも存在します。フリーランス新法がどのようにフリーランスの労働環境に影響を与えるかを見ていきましょう。
フリーランス新法により、フリーランスと事業者間の取引における透明性が増すことが期待されています。契約条件、報酬の支払い期日、作業内容などが明確に記載されることが義務付けられることで、双方の誤解が減少し、トラブルの予防に繋がっています。
フリーランス新法で取引の内容が明確になり、また業務量や難易度に応じた適正な報酬が設定されるようになったことで、フリーランスがよりモチベーション高く仕事に取り組むことが可能になります。また、突発的な業務やイレギュラー対応などが減ることで、仕事と私生活のバランスを取りやすくなり、生産性が向上することも期待されています。
フリーランス新法の制定を通し、発注者側へ義務が課されたことで、発注者は新しい規制に適応するためのコストが増加したり、契約プロセスが複雑化したりと、さまざまな負担を強いられるようになりました。こうした負担の増加により、中小企業などの資源が限られている事業者は、フリーランスへの仕事の発注を控えることも増えています。
発注控えが起きるとフリーランスにも影響が出るホ…
フリーランス新法が施行されたことで、フリーランス側の労働環境の整備に関していくつかの条件が設定され、フリーランスは安心して働くことができるようになりました。具体的には、どのような条件が設けられるようになったのでしょうか。主なものを紹介します。
フリーランス新法では、すべての取引条件を書面で明示することが義務付けられています。これにより、フリーランスは仕事の内容、報酬、支払い期日などの重要事項を明確に理解できるようになりました。また、報酬の支払い期日が厳格に定められ、遅延が発生した場合にはペナルティが課されるようになったため、フリーランスの収入が安定し、収支の計画をたてやすくなることが期待されています。
フリーランス新法では、育児や介護といった私生活と仕事の両立を支援するための配慮が求められます。これにより、フリーランスだからといって休日対応や夜間の対応などの過剰な労働を強いられることが少なくなり、フリーランスも正社員と同様に、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなることが見込まれています。
フリーランスの地位向上にもつながっているホ!
フリーランス新法では、フリーランスへのハラスメントに対する対策が強化されました。対面ではなく、電話やオンライン上でのやりとりが多いフリーランスにとって、ハラスメントが発生していても外部の目に触れづらく、泣き寝入りしてしまう現状がありました。しかし、新法の中でハラスメント対策を明示することで、フリーランスであってもハラスメントから保護されるため、ストレスや不安が解消することが見込まれます。
また、契約の中途解除には事前に十分な予告が必要とされるようになり、突然の仕事のキャンセルや音信不通で報酬も支払われない、などのフリーランスが被る不利益の防止も期待されています。
フリーランス新法は、フリーランスの権利を保護するために多くのポジティブな変更をもたらしましたが、この法律には理解しておくべきいくつかの重要な注意点とリスクがあります。これらを知ることで、フリーランスとしてより賢く、安全に仕事を進めることができます。
フリーランス新法は、すべてのフリーランスに適用されるわけではありません。フリーランス新法は特に「特定受託事業者」と「特定業務委託事業者」というカテゴリーに分類される個人や企業に焦点を当てているためです。これらのカテゴリ分けは、業務の性質や契約の内容によって異なるため、自分がフリーランス新法の保護を受けられるかどうか確認しておくと安心です。
フリーランス新法を遵守しない事業者には、厳しい罰則が設けられています。これはフリーランスを保護するためのものですが、事業者だけでなくフリーランス自身も法的な要件を理解し、適切に対応することが求められます。違反が発覚した場合、事業者は高額な罰金や、最悪の場合、業務停止命令を受ける可能性があります。
具体的な事例として、あるデザイン会社がフリーランスのイラストレーターに対して契約上の約束を破ったため、数百万円の罰金を科されたケースがあります。この事例は、フリーランス新法がいかに厳格に適用されるかを示しており、契約を結ぶ際には双方が法的な義務を遵守することの重要性を浮き彫りにしています。
これらの点を踏まえると、フリーランスとしては新法の保護を享受するとともに、その適用範囲と法的な要件を正確に理解し、遵守することが非常に重要です。適切な知識と対策をもって事前に準備をしておくことで、リスクを最小限に抑え、安心して業務を遂行することが可能になります。
フリーランスとして活動していると、予期せぬトラブルに直面することがあります。そのため、フリーランス新法の下で提供されている対処法を知ることは、トラブルに迅速かつ効果的に対応するために非常に重要です。
フリーランス・トラブル110番は、フリーランスが直面する可能性のあるさまざまな問題に対応するための支援ホットラインです。このサービスは、契約違反、遅延支払い、不当な扱いなど、業務上発生するトラブルに迅速に対応するアドバイスや法的支援を提供しています。フリーランスが自身の権利を守り、トラブルに効果的に対処する上で心強い味方となるでしょう。
困った時は周りに相談しよう!
フリーランス新法の導入により、フリーランスが直面する様々な課題が軽減され、より良い労働環境が提供されるようになりました。この記事で確認した主要なポイントを簡潔にまとめます。
1.フリーランス新法はフリーランスの保護を強化
2.契約の透明性が向上しトラブルが減少
3.労働条件の明示が義務化され、支払い遅延が減少
4.フリーランスと企業間の健全な取引が促進
これらの改善により、フリーランスとして安心して仕事に専念できる環境が整いました。フリーランス新法の適切な理解と活用により、さらなるキャリアの発展が期待されます。
1.弁護士法人勝浦総合法律事務所 / 勝浦 敦嗣 弁護士
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